雑誌『Newton』と『Newton別冊・ムック』は素晴らしいシリーズである。全ページカラーでイラストが大きく、一般の人に最先端の科学の成果を分かりやすく伝えている。そして、一流の科学者たちに取材しているので信頼できる。
この『「無」の物理学』は、「宇宙はなぜ生まれたのか?」「空間とは?物質とは?」という、人類にとって長年の謎に挑んだものだ。そして、最初から《1立方センチメートルの空間に1兆の1000万倍以上の数の分子が含まれている》と驚異的な事実が載っている。現代科学が導きだすこの宇宙というのは、信じられないほど不思議なものだ。空間では常に粒子と反粒子が生まれては消滅している。空間はまだ確認されていないヒッグス場などの場で満たされ、あらゆる素粒子を生み出すことができる。空間も時間もない「無」から宇宙が生まれたのは、量子論でいう「ゆらぎ」のためである。宇宙は虚数時間から生まれた。……
そして、「万物の理論」の有力候補とされている「超ひも理論」では、この宇宙は10次元か11次元だというのだ。普通に考えると、滅茶苦茶すぎてふざけているのかと思えるほどだ。しかし、実験や観測で大量のデータを積み重ねた成果がこうなるのである。この驚異こそが人間の探究心の元であり、現代物理学は人類の永遠のテーマを解明しようとしている。それを広く伝える『Newton』は、とても重要な役割を果たしているのだ。