従来の日本は家父長主義的な男性原理で貫かれ、過度な市場原理優先、GDP至上主義で生活者やエンドユーザーよりも、企業の論理、資本の論理によって支配された、いわば「動脈系社会」だった。
今後は、お金に代わる自己満足を根底とし、動脈系で軽視されてきた女性原理、エコロジーに重きを置き、異性間、人間・生物間、世代間、南北間の搾取撤廃を目指す「静脈系社会」へと変貌していかなくてはならない。無料ソフト「リナックス」や各地で広がる「地域通貨」は、静脈系の1事例と指摘する。
豊かさを測る「HSM」を提唱
本書では、GDPに代わり、社会の豊かさを測る指標として、著者が開発した「人間満足度尺度=HSM(Human Satisfaction Measure)」を紹介する。HSMは人間の幸福や満足、社会の持続性に不可避な労働、健康、教育、ジェンダー、環境など多分野の要素を盛り込んで算出する。先進国、途上国を含め、各国の満足度を時系列で比較できる。
著者はHSM値で世界トップであるスウェーデンに注目。面積は日本の1.2倍で人口は14分の1であるスウェーデンは、人口減少社会に突入する日本の将来像を考えるモノサシとなり得るとして、経済、社会、環境の3側面から分析を試みる。経済界の一部から高福祉・高負担の限界を訴える声が出るなど、スウェーデン社会に問題がないわけではない。だが、若者の政治意識の高さ、自国の社会への満足度の高さ、日本の20年先を行く環境政策など、参考にすべき点が多いという。
日本は、これらのモノサシに方向性を合わせながら、「サステナブル・ジャパン(持続可能な日本)」「スマート・ジャパン(知恵ある日本)」を構築すべきだと結論付けている。
(日経エコロジー 2006/02/01 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)
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