一次産業である漁業を日本において活性化させるのは不可能であろうと思っていました。アジア諸国が低賃金を優位にとり日本の漁業が衰退していくのは時代の流れであろうと。
確かに東南アジアが優勢と言うなら仕方のない話かもしれませんが、ノルウェーやニュージーランドで漁業が活性化しており、漁業従事者の平均年収が日本の倍であると言うと話は違ってきます。しかもこれらの国において漁師の労働環境は優れており、若者たちの人気産業でもあるとすればどうでしょう。
日本においても全ての漁師が低所得者であるということはありません。東日本大震災で被災したという漁師の家がテレビにも流れていましたが、一部の漁師の生活水準を見ればかなりの高所得者であることが読み取れます。しかし、長年のばら撒き政策によって利権構造が複雑に絡み合い動きがとれないというのが日本の水産業の実態のように見えます。
本書は日本の水産業の問題点、先進諸国の水産業との比較などが体系的にまとめられており、被災した東北水産業復興のヒントになるアイディアに溢れています。急激な改革によって被災した水産業者に追い打ちをかけるようなことは望みませんが、海底からの瓦礫回収や港湾施設の復旧と並行して、未来に希望を託せるような復興政策を打ち出す必要があります。東北の水産業を復興・発展を願う人たちには是非読んでもらいたい一冊です。