こんな風な生き方もあるんだ・・・・、と、素直に驚き、感動。
筆者の生活するタイの森林寺の伸びやかな空気が伝わってきて、深呼吸したくなった。
この本には、シンプルな森での修行生活、仏陀の教えを軸とするタイ人の死生観、そして訪れる日本人との心の交流などが
わかりやすく、かつ、味わい深い文体で書かれており、筆者のあたたかい人柄が想像できる。
また、随所に挟まれている(実際にタイの寺で唱えられている)祈りのフレーズも、あたたかく、かつシンプルで、
素直に心に響いてくるものばかりだ。
森での修行生活のエピソードももちろん興味深いが、そうした生活を送りながら、
オウム真理教事件をきっかけに日本人の心の悩みを聞くという役割に目覚めた、というくだりには、
心の世界を深く旅しながらも、現実の社会、日本人としての自分の役割にコミットしていこうとする筆者の姿勢を強く感じ、共感した。
特に興味深かったのは、Mさんのエピソードとタイ人のお葬式のくだりだ。
愛する人を失ったものにとって、喪の作業がいかに大切かということを考えさせられる。
そして、タイの人々の生と死に対する考え方は、あっけらかんとしていて、かつ、現実的だ。
「おくりびと」が流行する日本のそれと、思わず比較してしまうが、タイ式のほうが、生きやすそうだな、と思う。
心を深めることに関心がある人、明るく、元気に人の世の悩みに取り組みたい人。
比較文化的な、色々な考え方を知ることで視野を広げたい人。
すべての人に、おすすめしたい。