確かに、メソッドの本だけではわかりにくさがあるのかもしれません。私は感染症の教科書を編集しているもののはしくれなので、別のレビューをかかれた方が口呼吸に危惧を抱かれる理由もよくわかりますが、宇城師の指示は西原克成氏らが危険を指摘するいわゆる「口呼吸」ではありません。ぱっと口を開け(吐くでもなく吸うでもなく)呼吸を通してから、鼻でゆっくりと吸って口から(歯の間から漏れるように)吐く、というものでその通りやれば何の問題もありません。また、口を開けておくことの意味は能の身体技法の研究者である安田登氏が「そのことで横隔膜の緊張が抜け、横隔膜を通り抜けて働いている脊柱起立筋の腸腰筋が活性化するのではないか」と仮説を述べています。宮本武蔵は五輪書のなかで「おとがいをだすべし」と述べていますが、宇城師の「ぱっ」はまさにこの下あごをゆるめるという武蔵の身体操法を現代によみがえらせたものだと思われます。
書かれているとおりに、丁寧にやってみれば、誰でもどこでも何度でも「気」というものの威力が実感できるという意味で、まさに一般性・再現性・普遍性を持った科学的なアプローチであり、現代の日本人に勇気を与えてくれる一冊だと思います。