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「民族浄化」を裁く―旧ユーゴ戦犯法廷の現場から (岩波新書 新赤版 (973))
 
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「民族浄化」を裁く―旧ユーゴ戦犯法廷の現場から (岩波新書 新赤版 (973)) [新書]

多谷 千香子
5つ星のうち 4.2  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「MARC」データベースより)

ユーゴ連邦の崩壊は民族間の内戦を伴い「民族浄化」と呼ばれる凄まじい悲劇を生んだ。旧ユーゴ戦犯法廷でどんな事実が明らかになったか。判事として審理を担った著者が国際刑事裁判の意義と限界、和解と平和建設の条件を論考。

登録情報

  • 新書: 204ページ
  • 出版社: 岩波書店 (2005/10/20)
  • ISBN-10: 4004309735
  • ISBN-13: 978-4004309734
  • 発売日: 2005/10/20
  • 商品の寸法: 16.8 x 10.6 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.2  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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29 人中、26人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By TaroTaro トップ500レビュアー
形式:新書
私は旧ユーゴ関連の本を結構読んだのだが、内戦の「概要」についてはこの本が最もわかりやすかった。

著者は旧ユーゴ国際刑事裁判所の判事として、実際に戦争犯罪人を裁く立場にあった人物である。この作品は、著者が担当した事件に依拠したために、セルビア人勢力が行った「民族浄化」の実態が中心となっており、クロアチア人等が行った「民族浄化」に関しては触れる程度であるが、著者の内戦に対する評価は単純に「セルビア=悪」ではない。第5章等ではセルビア人が行った「民族浄化」と逆の構図もあったと強調している。当たり前かもしれないが内戦の評価や司法の限界に対する考察も含め冷静な視点で書かれている。

ボスニア内戦時に使用され始め、セルビア人勢力の残虐行為を象徴する言葉となった「民族浄化」。これは、ボスニア内戦においてボスニアの広報活動を請け負ったアメリカの広告会社が考案した言葉であるが、言葉の持つ意味はホロコーストと同じである。ホロコーストという言葉を用いることによるユダヤ人社会への悪影響を避けるために、それにかわる「民族浄化」という言葉を使用したのである。

結果的にこの言葉が「セルビア=悪者」というイメージを植えつけることになったのであるが、本書でも「民族浄化」という言葉はセルビア人の行った行為にのみ使用されている。

著者はこの作品がセルビア側の「民族浄化」が中心になっているので意図的にそうしたのかもしれないが、単純にセルビアだけが「民族浄化」を行ったと誤解されかねないので、前段でその理由をきちんと説明すべきであったと感じた。

なお、内戦の歴史的背景については「ユーゴスラヴィア現代史(柴宜弘)」等で、庶民はどうなったのかについては「木村元彦」の一連のルポで、メディアの罪については「戦争広告代理店(高木徹)」で知ることが出来る。
このレビューは参考になりましたか?
20 人中、18人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By カスタマー
形式:新書
旧ユーゴ国際法廷における唯一の日本人裁判官がボスニア戦争について記した書。
裁判に特化した内容ではなく、旧ユーゴ紛争の始まりからボスニア戦争が終わるまでを対象とし、裁判資料や証言を引用しながらわかりやすく解説してくれている。
評者は関連書籍を英語文献も含めて多数読み漁ったが、本書は秀逸。
とくに、そのバランスのとれた記述がすばらしい。
しいて欠点を挙げるならば個々に記述に関して論拠を提示していないことか。
このレビューは参考になりましたか?
6 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:新書
筆者は旧ユーゴ国際刑事裁所の判事であったことから
ある程度セルビアに批判的になるのは仕方ないが、
本書を読むとどうしても、「ミロシェビッチが全面的に悪い」
と読めてしまう。
もちろん彼は、非難されるべきであるが、民族主義を掲げて台頭した
点を考慮するなら、その他のトゥジマン(クロアチア民主同盟党首で
のちにクロアチア大統領就任)や、イゼトベコビッチ(ボスニア
民主行動党党首でのちにボスニア大統領就任)と同程度の悪であった。
特に、イゼトベコビッチは、欧米によって形成されたムスリム被害者論を利用し
必要以上に自らの主張を貫こうとして、結果的に和平が遠のいた。

ミロシェビッチが、何故に欧米からの悪玉論の主役を務めることになったかについては、
『戦争広告代理店』高木徹 講談社文庫 を読んでほしいが、クロアチア戦争について
連邦の立場から離れ、ユーゴ人民軍を送りこみ、クロアチア内のセルビア人を保護しようとした
点が、欧米のセルビア悪玉論を決定づけたのだろう。所詮、ミロシェビッチは民族主義を
煽ることでトップに上りつけたのであり、その点を理解しないと彼の行動は理解できない。
その点で、この本だけでは、欧米の論理の受け売りに過ぎず、不十分である。
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