新渡戸は「義」を重んじ、「忠」を尊び、「誠」をもって率先垂範するといった武士道が、民族固有の歴史や風俗、仏教や儒教、神道などと深く関わっていることを記した。著者は1000年もの長い間、日本に浸透し、世界に誇るべき精神的支柱だった武士道や「大和魂」を、戦後、日本が意識的に踏みつけてきたことを批判する。
日本再生を期す今こそ、武士道の規範を徹底的に再検討し、実践に移すべきだと熱く説いている。
(日経ビジネス 2003/05/05 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)
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今や、戦前の教育を知る人達、さらには口をつぐまずにその良さを伝えてくれる人はほとんどいない。
そんな中、この李氏の書は、日本の戦前教育の素晴らしさを自らの信念に従い、伝えてくれる点で貴重なものだ。
旧制中学、旧制高校では、「人生とは何か」、「人間いかに生きるべきか」を真剣に問う気風があった事を知り、改めて、現代の日本教育の不甲斐なさを残念に思う。
徳がなければ、知識や、技術があっても、人間として尊敬されることはない。
ましてや、自分のバックボーンとなる国家を否定するような教育を受けてきたならなおさらだ。
本書はタイトルこそ武士道だが、前半部分では、李氏がいか??悩み、学び、生きていたかを述べており、曇りの無い眼で戦前教育を評価している。
李氏は学生時代、「武士道」だけではなく、カント、トーマス・カーライルなどの古典をむさぼるように読み、常に「死とはなにか」「生とはなにか」と問いつづけながら学んできた。
李氏が真の教養人であったことがわかる。
そして李氏のみならず、戦前の日本にはそのような人達が他にも居たのである。
さらに「実践躬行」を身をもって実行し、単に口先だけではなかったことを李氏の人生は証明している。
武士道は闘いのためだけの教義ではない。
「武士道の台木にキリスト教を接いだ物、その物は世界最善の産物であって、之に日本国のみならず全世界を救う能力がある」
本書で紹介されている内村鑑三の、この言葉に??士道に対する大きな誇りと可能性を感じる。
前半に紹介される教養教育の様々な古典は、これを機に学びたいと思う人達のいいガイドブックになるだろう。後半の「武士道」解題は、新渡戸稲造の「武士道」の良き解説書として役に立つ。
李氏のこの本は、座右の書として常に手元に置いて、人生の指針にしたいと思う。
本書の特徴は李登輝氏の言葉の行間から戦前の日本におけるエリート教育の気高さが雄弁に物語られている点です。「私は本書をこう読んだ」における作家・赤川弘之氏の「昔の日本の良いところは台湾に残ってゐる(P. 310)」という指摘に素直に首肯できます。李登輝氏自身が倉田百三『出家とその弟子』や阿部次郎『三太郎の日記』、西田幾多郎『善の研究』、カント『純粋理性批判』、カーライル『衣装哲学』といった書籍から学んだことを詳細に挙げています。これらの本から李登輝氏が引き出した意味は素晴らしいものです。私はそれらを手にとったことはあってもそこまで深くは読めなかったのが正直な感想で、そうした点から戦前におけるエリート層の水準の高さを見せ付けられます。
解題本は解題者の偉大さを通じて解題される対象者の偉大さを感じさせます。その意味で李登輝氏は新渡戸稲造の格好の解題者といえましょう。『武士道』の解題書としても秀逸ですが、私たちを勇気付け、高揚させる本です。ぜひ座右に置いておきたいものです。
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