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53 人中、49人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
「欲望」から透徹する現代社会.読みやすく,読み応えあり.,
By カスタマー
レビュー対象商品: 「欲望」と資本主義-終りなき拡張の論理 (講談社現代新書) (新書)
「不平等社会日本」(中公新書)の著者,佐藤俊樹氏の「ノイマンの夢・近代の欲望」(これもいい本)で紹介されていたのをきっかけにこの本を読んだ.つい我々は,資本主義,消費者,産業革命等の大事なキーワードでさえ,教科書的な既成概念でとらえ,その歴史的誕生の経緯や,それを突き動かした「人間のサガ」を見落としてしまいがちである.本書は,そうした連関を『欲望』という視点から見事に描きだし,“資本主義の歴史の縦糸”をあざやかにたぐって見せてくれる. 初版からすでに10年弱(今H12)を経ているが,ロングセラーのゆえんがよくわかる.惜しむらくは,学校の副読本として使うなど広く読まれることを期待したい. 私自身,大学1年の息子用に「もう一冊」買い与え,かつ会社でも研修等の場で紹介していきたいと思っている(人事担当ゆえ). 新書形式の軽いタッチながら,歴史を洞察した良書.こころから紹介したい一冊です.
18 人中、16人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
フロンティアを探し続ける資本主義,
By
レビュー対象商品: 「欲望」と資本主義-終りなき拡張の論理 (講談社現代新書) (新書)
資本主義というものを、斬新な視点から考察した本。まあ佐伯啓思っぽいって言ったらそんな感じ。 「欲望」というものを、自分との「差異」に見出し、資本主義はこの「欲望」で成立していると指摘する。 そして、「差異」つまり「新しいもの」を求めて対外膨張を続け、その後は内側に需要を作り続けるしかなくなる。 93年というバブル直後に出された本なので、バブルを相当に意識して書かれている。 バブルも「欲望」が作り上げた、資本主義の必然でもあるのだろう。 ただ、少し言わせてもらうと、筆者の主張とも近いと思われ、筆者の博識さから見ても明らかに読んでいると思われる、ジャン・ボードリヤールの「消費社会の神話と構造」が参考文献に上がっていないのは疑問である。 資本主義を再考する上で、オススメできる本である。
6 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
他者の欲望の欲望の資本主義,
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レビュー対象商品: 「欲望」と資本主義-終りなき拡張の論理 (講談社現代新書) (新書)
マルクスも彼を批判したゾンバルトも、筆者によると資本主義を論じるに当たっては人間の欲望を考慮に入れておきながらも、あくまで生産関係、労働を中心にすえて考えた。本書は、資本主義の終わりなき拡張の論理を、欲望の側面からあぶり出す、ありそうでなかった新書。 本書には、人類を大規模な航海へと焚きつけた、文明の外へ向けられた欲望に始まり、20世紀のアメリカの大衆文化(内)で花開いた、自分と他人との差違化をとかき立てる欲望、さらには外向きにも内向きにも欲望が飽和しつつあった80年代の日本における、ナルシシズム的な欲望にいたる欲望史として資本主義の歴史を洗い直すところに新しさがある。 ただ、93年当時の状況を分析した、「似非社会評論」みたいなのは陳腐にみえ、やや蛇足であるような気がした。現代の日本人は、欲望ですらなく「好奇心」で消費しているというところも、「今に始まったことか?」といささか疑問の余地がある。 この本が出た後の状況と照らし合わせることは、後出しじゃんけんのようで少し不公平だが、一応考えてみる。 本書の結論として著者は、産業技術の革新と欲望の拡大が乖離していくという道筋を予見しているが、はたしてどうだろうか。IT革命(もはや死語)の名の下に、情報技術が新たな欲望を生み出す源泉にはなっていやしないだろうか。 例えば、このAmazonのレコメンド機能は、特殊なアルゴリズムによってその人物のみたページ、買った商品の履歴を分析し、その人が欲しがるであろう商品を算出し、おすすめ商品として本人に提示する。提示された側からすれば、次の欲望を探すまでもなく、機械にしかも的確に商品を選んでもらえるのであるから、便利なことこの上ない。結果的に、情報技術によって、僕たちは欲望を作られているといっても過言ではない。 ジャック・ラカンは人間の欲望を「他者の欲望の欲望」と定義づけた。それは、他者の欲しがるものこそ欲しがるという、人間の欲望の歪な性質を意味している。でもそれは、裏を返せば永遠の拡張を意味しているのかも知れない。自分の欲望が「他者の欲望」であり続けるということは、たとえ手に入れたとしても永遠に自己のものとはなりえないのだから。 資本主義の終わりなき成長譚は必然なのかもしれない。
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