河出ブックス創刊の一冊。別の一冊、石原千秋の『読者はどこにいるのか』によると、出版社はこのシリーズの読者を「大学生以上、知的な大人まで」と想定しているそうだ。それにふさわしい一書。
著者は、今年2月刊行の『貧困連鎖』では貧困の現状とその打開策を、具体的な事例や政策案を挙げて述べていた。だが本書ではそれを「禁欲」している。副題に「階級社会 日本の履歴書」とあるように、著者の持論である「階級」という切り口で日本の戦後を通覧。さらに近年登場した「アンダークラス」を新しい階級と位置付ける。本書の狙いは、日本社会の長期的分析に「階級」という方法論を定着させることだと見た。
「貧困」や「格差」は表面に現れた現象だが、それらに「階級」という一つの物差しをあてはめることで、現状のみならず未来に起こりうる問題についても、それが根本的に何であるかが把握可能になると、著者は考えている。さて、民主政権はこうした書物をどう読むのだろうか。