テレビ映画「月光仮面」が放映されたのは50年前。それが映画全盛、テレビ映画など前例
がない当時としては、いかに至難のことであったのか、本書が物語ってくれる。最悪の低予
算、スタッフとキャストの不足という実情の中から月光仮面が登場した。当時の映画界は
それを嘲笑していたが、結局東映映画も「月光仮面」の劇場版を制作することになるという
圧倒性。テレビ、映画、マンガ、小説、絵本、文房具、玩具、菓子…あらゆるメディアを横
断してしまう初めてのスーパーヒーロー。
当時リアルタイムで月光仮面に接していた世代も含めて改めてその革新性に気づくことになる
だろう。
折しもテレビ版の「月光仮面」DVDが全作廉価で入手可能になっている。今見れば抱腹絶
倒のシーンの連続(例えば、警察が捕まえた悪者に「日本人だから白状したらどうなんだ」
と諭したり、自動車に糸をつけてその跡を徒歩で追跡したりするあたり…)だが、本書を
読んだ後では笑えなくなるかもしれない。
月光仮面の懐かしさよりも画期性に重点を置いた好著である。