書き終ってから気付いた、明日は宮脇氏が枕崎にゴールしてからちょうど30年。
あの『最長片道切符の旅』が34日間=全34回のドラマだったとすれば、これはそのドラマのシナリオ集ということになろう。少なくとも映像作品に対するシナリオ出版物のような資料的としての価値がある。それだけでも充分なはずである。
ところがこの本、原武史氏の脚注が非常に評価に困る存在となっている。例えばある街に「古い粗末な建物多く」という評価をしている箇所へ「これは私の印象とは異なる」などという脚注をつけられても、読む方は面白くもなければ興味も湧かない。列車内の音に例えるなら、ジョイント音や汽笛、踏切の音などではなく、せっかくの片側2ドア客車列車、その上わりとすいているのに、数ボックス先で携帯いじっているねえちゃんが使っているヘッドホンステレオの音がここまで流れてきてシャカシャカシャカシャカあーうるさい、という様相である。しかも身延線の線路付け替えのこととか、今はなくなった滋賀県北部の交流電化区間についてなど、解説を入れて欲しいと思う箇所にはどういうわけか脚注がない。こちらは例えるなら、ロングレールでジョイント音も止んだのかな?と思ったら、実は列車が止まってましたという様相である。せっかくだから、思いつきのような脚注はやめて、しっかり「解説」をまとめてほしかったところ。マニア糾弾(笑)とか、結構いいこと言っている個所もあるのだから。
ただ、表紙に『〜旅』同様の柳原良平氏のイラストが登場しているのはうれしかった。
あれこれと足して引いてこの評価。
ところで、『時刻表2万キロ』についても、かなり後になってからであるが、執筆のキッカケを述べた文章の中で「備忘録は完備していた」というような一文を目にした記憶がある。是非続けて「『時刻表2万キロ』執筆ノート」(仮 笑)も出版してもらいたいところ。