昭和史ことに第二次世界大戦に向かう日本の岐路を、点検する一冊となっている。
戦争の昭和史の書き手としては、既に大家の域にある「歴史探偵」保阪正康・半藤一利両氏による公開対談を素材に本書は編まれている。
この対談に編集者から与えられた切り口は、昭和の戦争の当事者が発する「ありふれた言葉」をキーワードにすることであり、二人の作家は「ありふれた言葉」に潜む日本人の行動原理に迫る。
既に多くの著作を持つお二人であるが、自身の年齢等を考慮し次世代へ更なる研究の深化を求めるエールを送る一冊となっている。
個々の登場人物等に関しては、著者たちの他の著作が用意されている。これらの著作群の道案内としての役割と今の時点での解説・補足も、本書は同時に果しているものと思われる。
「ありふれた言葉」によって、責任を回避し結果から逃避する昭和の日本人の姿は、他の局面においても観察されるものと思われる。
貴方の周りにも居ませんか?こんな口癖の人、「しかたなかった」「それはおまえの仕事だろう」「ウチはウチ」「この際だから」「(世界の)大勢」。そしてそこから生まれるものは、責任転嫁と情報操作。もし、そんな方が居て責任のある立場にいれば、あるいは立場を求め策動すれば、その動きは要注意です。
負けを負けと認めることが出来ない、負け戦から教訓を得ることが出来ない「昭和」の恥部は、現在も続いている。責任転嫁の姿勢は、哀れであり滑稽でさえある。そして、それは人と集団の成長を阻害する。
著者のお二人には、大人としての知性以上に昭和史の書き手として潔さが感じられる。