日韓併合と占領政策を比較検討する、というアプローチは確かに斬新です。
ですが、「陰謀」の枠組みをアメリカが作り、金融とメディアを統制したという主張には違和感を禁じえません。
それなら、戦後ずっと続いた護送船団方式などの閉じた金融行政も
アメリカの意図通りだったのでしょうか?
また、メディア統制に屈服したはずの朝日新聞が、その後
左翼的な反米の急先鋒となったことに触れていないのはなぜでしょう?
また、朝鮮銀行接収=金融ネットワーク確保という発想も間違っていると
思います。
米軍政は日本と韓国との貿易、現金取引を朝鮮人の要請にもかかわらず一時的に
一切禁止しました。アメリカは支配したはずのネットワークを自ら閉ざしたことになるのですが、このあたり説明不足の感があります。
そもそも、朝鮮半島にあったのは朝鮮銀行だけではありません。朝鮮殖産銀行
などについても論証する必要があるのでは?
アメリカの金融支配というのは、やはり陰謀論だと思います。バブルに浮かれていた日本がもしそのまま続いていたら、同じ批判をアメリカから受けた可能性が
あるのでは?
著者は外務省北東アジア課経験があるそうですが、大アジア主義をぶつなら
もう少し説得力のある説明が必要でしょう。