2003年の内容そのままであるが、逆にこの数年でそのテーマ、分析が正確であったことを日本社会が示しています。日本人の世界に類を見ない執着的性格が日本だけでなく戦後世界の経済復興・発展と量的・質的に合致し大きな「経済的」繁栄と豊かさをもたらした。一方そのモデルは既に「社会構造の変化と心の問題」を内包していたこと、それが90年代に顕在化し、悪循環をもたらしていること、日本は米国型の社会経済モデルは採用できないし、してはならないこと、従って経済成長至上主義を目指す政策は取るべきでないこと、それを目指す限り現在の社会問題は解消しないこと、そして今の世界経済発展モデルには日本人は残念かどうかは別として適しておらず、その点(当面は)穏やかでコントロールされた衰退の道を選択すべきこと等々心理学者の立場で日本人の「心の問題」を述べている。著者の一連のテーマであり、これを2003年に既に纏めておられたことは炯眼。日本人(社会というべきですが)の性格(そして米国人との対比)に付いての説明はレビューアー自身のそれ、会社員生活、米国での生活・ビジネス経験から正しくそのとおりと納得。であればその診断も的確なのであろう。
ただ、他の著書同様、問題点はわかっても具体的に治療は難しいと思わざるを得ない。病人(日本社会)が病気は栄養不足(経済不活性)が原因であると思っていること、実はカロリー過多なのだが実際にお腹がすいているのでわからないこと。昔のように日本単体で物事が進まない(人、物、金、情報の世界同時移動・進行、フラット化)ため世界の主導的流れ(米国流、いずれ中国流?いずれも著者に言わせれば神経症的思考・行動)に無理しても足並みを揃えざるを得ないこと、日本の人口構成の急変は事実、教育水準の(相対的)低下、一見豊かであったための危機感低下等々障害が多すぎる。
とは言えそうした社会を選択した、選択しているのは日本国民の多数決総意の結果なのだからやむを得まい。ここしばらく症状は悪化するであろうということを彷彿とさせる著書、むしろ若い人に読んで欲しい。