端正で機能的。本書は日本の住宅の美と機能を追及した建築家で建築環境工学者、藤井厚ニの建築をビジュアルに紹介、解説した本です。
まず、その美しい写真の数々が目をひきます。障子を通した柔らかい光に照らされた、明るい室内。直線で構成された端正な日本的インテリア・デザイン。和式と様式の生活スタイルが織り交ぜられていますが、家具まで含めてすべて藤井によってデザインされているため、とてもバランスよく、整然と配置されています。イス座に適応した和室、といった感じでしょうか。単なる折衷ではなく、両者の生活スタイルの長所を、デザインによって融合させたものと解釈できるでしょう。
また、これら住宅における藤井の実験の成果についても詳細に検討されています。酷暑の風土に適応した防湿、通風を旨とする環境共生技術(現在のパッシブデザインの先駆け)、西洋から取り入れられたイス座の長所を生かすために再編成された和室の機能とインテリア、日本的な美意識が生かされる照明と内装材。これらを豊富な図や写真を使って、丁寧に解説してあります。「聴竹居」で有名な藤井厚ニの建築の、「日本住宅」における位置と、特徴がよくわかる良書です。