本「日本の歴史」シリーズの前提として、「日本」という国民、国家、民族の自明性を徹底的に議論し、解体し、バラバラにしていく。網野史観史観の集大成といえる。慣れていない人にはいささか衝撃的な見方であふれているだろう。それはそれで大変刺激になるし、一度触れてみるのはよいことであろう(少なくとも多くの研究者にとっては)。
ただ、すでに他レビュアー氏に指摘されているように、いささか度を越したというか、政治的・学問的な中立性に疑問のある主張が垣間見られる。受け入れるべき点は受け入れ、検討すべき点は検討すべきであり、慎重な態度が求められる一冊である。