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障害を持って生まれた長男、光さんのこと。自身の子どもの頃からの読書体験。(最近亡くなった)サイードらとの交流をふまえて書かれた「知識人」であるということ。これらが(大江健三郎としては)易しい文章で、淡々とつづられています。
幾度も言及される『カラマーゾフの兄弟』の一場面が印象的です。一人の少年の「僕はすべての人々のために苦しみたい」と叫ぶ。それを大人がせせら笑うことはできないのだ、と。イラクやアフガニスタン、イスラエルについても書かれていますが、どのようにして人と人が和解しあうことができるのか、若い人たちにはそれをじっと考え、達成することのできる「新しい人」になって欲しいのだと訴えるのです。
著者は何度も自身のことを「老人」であり、自分が「新しい人」になることはもうできない、と述べていますが、理想を見失わない感性のみずみずしさを感じました。ただ、「どのようにしたら」相手を受け止められるのかこそが、今、問題だとは思うのですが。
意地悪のエネルギーは何も生み出さないことの説明や、
嘘をつかない勇気などは、単純すぎる題材と思われるかも知れませんが
だからこそ、もう一度考えてみる必要があることだと感じました。
自分が自分を教育していくのだ、という考えにも共感しました。
これからの世代の人たちに新しい人になってほしい。
そういう願いを込めて書かれたようですが、
この本は確かにいいきっかけになると思います。
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