本書は、近年教育界に入ってきつつある(あるいはすでに導入され
ている)「教員評価制度」について、著者たちが行ったアンケート
結果や事実・データに基づき、その実態把握を中心に、そこから
見える今後の方向性も一部まとめたものである。
本書では、すでに評価制度を導入している宮崎県の事例を例にとり、
論を進めている。
本書で書かれている具体的な内容としては、宮崎県の評価制度が
今のかたちになるまでの経緯に加え、その評価制度に対する行政側
および現場教員側の捉え方の違い、現場教員でも教育観や年齢や立場
によって評価制度の捉え方に違いがあるのか、あるとすればそこから
どういったことが読みとれるのか、といったこと等が中心である。
すなわち、宮崎県の事例から浮かび上がる評価制度の実態の把握が
もっとも大きなテーマとなっている。
現場の意見を取り入れ、「あくまで教員と組織の能力向上のため」
という目的で始められた評価制度ではあるが、実際のところ現場教員
の抵抗感は強いこと、優れた教師というものを一元化して判定できない
と感じる教師ほど評価制度への抵抗感が強いこと等、興味深い結果
が満載である。
教育という数値化しにくいものへの評価制度の導入というと、すぐに
新自由主義に基づく成果主義の導入ということをイメージしてしまい
がちである。しかし、本書で扱われている宮崎県の評価制度も含め、
成果主義の評価とは一線を画し、教育現場に合った評価制度の検討は
現在盛んにされているところであろう。
本書は、その検討材料の貴重な資料とも、そして各教員が評価主義
の現実を知った上で考えを深める材料ともなる、内容充実の貴重な
一冊である。