(1)この本のプロフィール
PHP研究所「指紋は語る 指紋の神様と呼ばれた男の事件簿」を改題文庫化した本。
警視庁で指紋一筋30年「指紋の神様」と呼ばれた著者による本だけあって、指紋の性質、収集方法、指紋をもとにした事件判断がどのようになされているのかがよくわかる。
(2)内 容
題名の「事件簿」とはうらはらに、第1章「指紋とは何か」(約80ページ)で指紋そのもについて、さらに指紋が利用されるようになった歴史から現代までを丁寧に解説。第2章「指紋が語りかけるもの」(約80ページ)でやっと「事件」が取り上げられるが、それも丁寧に指紋の特性について解説した後で、その実例として実際の事件について解説される。そして、第3章「検出と鑑定をしてみる」(約60ページ)や第4章「指紋がもつ無限の可能性」へと続く。
(3)読後感
さすがに指紋一筋に仕事をしてきた著者だけに、丁寧にしっかりと指紋について解説されているのには感心する。何気なくわかったつもりでいた指紋について、「そうだったのか」と思う記述もしばしばである。その意味で、読んで損がない本。
しかし、(私はそうだったのだが)、「事件簿」を期待する読者にとっては、扱われる事件の数とページ数が少なく、がっかりするかも知れない。