著者の前半生を描いた小説「
青年社長〈上〉 (角川文庫) 青年社長〈下〉 (角川文庫)」を読んだ時に、こんな人がいたのか、と吃驚し、それ以来ワタミグループをずっと注目してきました。
大学を卒業して一年間の貯金をもとに一軒の居酒屋から出発し、東証一部上場企業に成長させた著者は、立志伝中の人物か劇画・小説の主人公のような印象を抱きます。
渡邊会長の素晴らしいところは、理想を熱く語れるところだと思います。
これはなかなかできることではないです。
そして、その理想を共有できた人たちとワタミグループを運営している、と。優れた経営者が登場すると、しばしばこういうことは起きます。
ソニー、ホンダ、パナソニック、京セラ等。年代的に見て渡邊会長が理想主義を掲げて登場してきたことはやはり意義が大きいと思います。
そこには社会事業家としての資質が含まれているからです。
ワタミが数ある企業の中で異彩を放っているのはそのためと思います。
今年から著者は、社長を後進に譲り、次期体制作りに着手しました。
この本を読むとよくわかるのですが、ワタミという企業は著者の圧倒的なリーダーシップに引っ張られて伸びてきた会社です。
リーダーの交替こそが最大の難事業だと思いますが、その命題に対しての答えが今回の人事なのでしょう。本書は、どちらかというと、社長から会長になることに関しての所信表明のような印象を受けました。渡邊会長の薫陶に受けたい方にはお勧めです。