この本に対する書評子の評価は必ずしも高くないようですが、私は一読の価値ありと思います。20世紀が自由民主主義と共産主義の二項対立の「イデオロギー対立の時代」であったのに対し、21世紀が、冷戦が終わりグローバリゼーションが進む中で「アイデンティティの競い合いの時代」になったとの著者の意見には全く賛成です。
さもなければ、イスラムの勃興や、中国のナショナリズムの隆成、米国におけるティーパーティーの影響力増大等、一見バラバラに見える世界のホットな事象を説明できません。
「感情」ですべてを説明しようとする本書のロジックには若干無理を感じることも事実ですが、今までの伝統的国際政治論では説明できない、21世紀的な切り口を提供してくれるのが、この本の新鮮さだと思います。