六十代半ばの著者が、四十年以上前の大島みち子さんとの出会い、恋愛、永久の別れ、それらの出来事を克明に再現し、青年時代そのものの感性で終章として書き上げたノンフィクション。
「愛と死を見つめて」日記では、明かされていなかった出来事もありのままに書かれている。ありのままの出来事が、大島さんの短い人生と照らしてより一層切なさを感じさせる。
私は、まだ四十代半ばですが、六十代半ばの著者の感性に接して、勇気を得た。六十代半ばの自分をリアリティを持って想像することは出来ない。しかし、これほどの感性のほとばしりで持って、青春時代を回想、いや回想ではない現在進行形のドラマとして再現できる事実に、現代の六十代の若さに驚嘆したのである。六十代の若さの可能性に目覚めたのである。
この著者の感性の若さは、やはり若い時代に美しい恋愛を体験したからであろうか。少なくとも美しく記憶される恋愛は、その人のその後の人生を価値あるものとするのであろう。
携帯メール時代に、文通時代の恋愛がリバイバルされる事は、興味深い。携帯メール世代の若者に読んでもらいたい。