介護の実情が知りたくて読んでみました。
以前2ちゃんねるあたりで、「結婚しようとして先方の両親に挨拶に行ったが、年収200万と言ったら鼻で笑われた」という内容のものがありました。
それに対するコメントの多くは20何歳で年収200万なんてありえないだろう、というものが多かったのです。
ですが、本書によれば、介護にかかわる人の4割以上が月収20万円以下とのこと。そして男性が結婚を機に退職する、ということが日常茶飯だといいます。「こんな給料では子供も作れない」と。
ただし、これまた本書によれば、給料が安い、というのは直接の原因ではあるものの、それでも介護の仕事にやりがいを感じている人は多いのです。その情熱を持っても介護職の継続を断念させるものは何か。
それは介護職の展望のなさです。何をやっても賃金は同じで、しかも毎年削り取られていく。創意工夫をして施設が黒字を出しても、黒字を出せば「余力がある」ということで翌年からはさらに予算が削られる。介護報酬以外からの収入を禁じられているため、そうなると人件費を削るしか他に道がない、という悪循環です。
これでは自分たちの仕事が社会から評価されている、という意識というか、誇りなど持ちようがありません。
「介護を社会化する」と宣言し介護保険をスタートさせたのは良いことです。特定の個人だけが介護の苦労を負担する、ということは大きな間違いだからです。ですが、そのコンセプトを実現するための制度設計がまるでダメということです。
書中にこんなセリフがあります。
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自分たちの老後を担う人たちとその仕事を私たち自身が貶めている。それは「自分だけは年もとらないし、絶対に障害を持つこともない」と言うのと同じだ。
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番組製作者の為政者に対する怒りが、本書のタイトル「愛なき国」に表れています。「愛がない」とは誰に向けられた言葉かといえば為政者に対してだけではありません。むしろそれは、この問題を誰もわがことと考えられない国民に向けられているのです。
何年か後には、介護される側なのかする側なのかの別はあるにせよ、間違いなく自身が関係することです。相当しっかりとこの問題はウォッチして、かつ積極的にかかわっていく必要がありそうです。
それでも救いは、介護殺人、虐待などそれまでは頻発していたにも関わらず、めったに報道されることはなかったのに、「介護の社会化」のおかげでそれらが明らかにされることも多くなり、問題が共有される土壌ができたことだと述べる関係者も多いそうです。