ただの 悪 ではなく「悪」であることがミソなのかもしれない。
語り手である小説家の夢想の中で、少年に変身した幼児ランちゃんは、人類に危機にさらされた動物たちのために殺人することを求められたり、いじめに加担したりいじめられたり、最後には愛されてぼろぼろになったぬいぐるみを引き裂くことを求められたり。これは作者が自分の子どもにプレゼントした、既成のヒーローものではない戦いの物語なのかもしれない。
最初と最後の小説家の語りは、ケストナーさんの少年小説の前説を思い出させて割といい感じだったり、かつてのあくどいまでの既成のキャラクターの引用も抑えられている。そして、読みやすい。しかし、読み終わって何を読んだのかという思いが残るのはなぜだろう。あまりにも、現実の戦い、世界と切り離されているからだろうか。
ある意味でこれは、遅れてきたマンガであり、ファンタジーなのではないかと思う。そしてそれを喜ぶのは、ギョーカイ人とそのファン層、予備軍かな、とちょっと意地悪な気持ちにもなった。「親バカ」小説という見方も。