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特に本書の指摘の中で興味深いのが、戦後日本における団塊の世代のライフサイクルに伴う、「モデル家族」の出現と、その家族が居住する、郊外地区の大規模開発という点であった。そこでは、ホワイトカラーの夫、専業主婦の妻、勉学にいそしむ子供、という「典型的」な家族構成が、少なくとも認識上は存在していたと指摘している。
しかしながら、本書の指摘が見事であるのは、こうした団塊の世代が、「理想の」家族と郊外を作り上げたと同時にさまざまな問題が発生したという点である。いやむしろ、そうした家族なり、郊外そのものが問題の発生源としている。
すなわち、郊外地区においては、「モデル家族」が規範となることから、家族構成や年齢構成、または階層的にも極めて均一で、強固な規範が支配するということだ。そして、この規範が強固であるがゆえに、そこにおける逸脱行動も異常・極端であり、これが当時発生した少年犯罪などの根源的原因であるとしている。
ここから見えてくるのは、戦後の理想的「家族」も「郊外」も、団塊の世代の存在という極めて歴史的特殊性の中で存在したものであり、その団塊の世代が消滅すると同時に消滅する運命を背負った、実に「一代限り」のものでしかないということだ。実際に著者は、本書の末尾で、従来の都市に若者世代が回帰していることを取り上げており、現実的にも、郊外が「オールドニュータウン」化し、荒廃化していく現実がある。
本書から見える今後の課題としては、こうした単なる特殊な「団塊一代限定」のものでしかない、問題の発生源である家族や郊外をどう乗り越え、多様な価値観が共存できるような、基本的な枠組み設定を行っていくということであろう。
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