あらすじを載せたり、各映画ごとに分析を加えるのは、多くの読者に対して読みやすい構造になっているとは思います。しかし、その読みやすさがかえって、本書をまとまりのないものにしている気がします。
宮崎駿を理解する上で大切なのは、各映画の分析ではなく、もう少し現象学的なアプローチではないかと私は思います。それぞれの作品に共通するもの、多くの児童文学作品にも脈々と受け継がれているもの・・・
例えば、「空を飛ぶ場面の多さ」「女性性の強調」「名前の持つ意味」「魔法の有限性」「原作とのつながり方」「児童文学の影響」などで章立てした方が、メッセージを読み取りやすいと思うのです。
宮崎アニメには、それぞれの映画にメッセージが含まれていることは確かです。しかし全体を概観して共通項を探し出すことこそ、細部を理解することに必要ではないでしょうか。それぞれの映画の細部に捉われすぎて、話に一貫性がありませんでした。残念です。
あくまで新書レベルです。「目から鱗」的なものを期待しているのならば、あまりおススメはしません。