元厚生労働省の職員で、現在は筑波大学大学院の江口が書いた本です。
家族に対する手当が手厚いことで有名なフランスの家族政策の諸制度の歴史的な経過を追い、現在の制度がどのような位置づけなのかをまず解き明かします。
次に、「少子化対策」というキーワードに触れる前段として、戦前および戦後の日本の人口政策についてかなり丁寧なフォローをし、児童手当の検討段階からの歴史的経緯をなぞった後に、子ども手当の意味と意義について検討を加えます。
本書では、子ども手当そのものの善し悪しを論じているわけではありません。むしろ「子ども手当」に極端に象徴される現政府の社会保障政策の底に流れている考え方を推測し、社会保障政策、ひいては国家のあり方を論ずることが必要だ、として締めくくっています。
最近立て続けにスウェーデンの社会保障制度に関する書を読みましたが、給付や休業制度といった現象的な面だけにとらわれて、その金額の多寡を論ずることだけでは、職業や家庭に関するいろいろなスタイルの人々をカバーできる社会保障制度を構築することができないものです。
社会保障だけではなく、労働も当然として、家族制度(すべての家族のそれぞれのあり方)をカバーできる制度を構築することが必要です。そうすることが、子ども手当制度に対する答えを見つける最短ルートとなるものと思われます。
本書は、そういったことを確信できる書です。