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14 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
ナルシズムから遠くはなれて,
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レビュー対象商品: 「坂の上の雲」と日本人 (文春文庫) (文庫)
司馬遼太郎の作品は、小学生から読んできたが、この本の指摘には目を開かされました。特に司馬遼太郎が私小説=告白文学=ナルシズムを嫌い、写生文学として俳句を再生した 正岡子規を主役の一人に選んだという説には深く納得。 はじめ読んだときは幼いなりに「何で戦争の小説なのに俳句の人が出てくるんだろう」 と疑問に思っていのたことが、懐かしく感じます。 また「坂の上の雲」が書かれた時代背景の解説はその時代生まれていなかった、 学生運動と聞いても実感のない人間としてはとても新鮮でした。 この本を読み終わり、「坂の上の雲」が読みたくなり、現在再読中です。
4 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
司馬遼が描いた近代「平家物語」,
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レビュー対象商品: 「坂の上の雲」と日本人 (文春文庫) (文庫)
『坂の上の雲』に関するいわゆる副読本は雲霞の如くであるが、二葉亭四迷や樋口一葉、夏目漱石など明治期の文学者伝について蓄積の深い氏の書かれた本書は、同書執筆の時代背景や作者の執筆意図などを丁寧に読み解いて、非常に得るところが多かった。また、1905年と1968年の類縁性に着目した内田樹氏の解説も読ませる。「司馬遼太郎はアイデンティティを「お里」と訳しました」(49頁)。 「司馬遼太郎は、日本と日本人の「お里」を忘れてはならないと、自戒をこめてこの小説を書いたのだと思います」(56頁)。 「合理を好み、「近代」というものに対して基本的には肯定的であった司馬遼太郎が、「近代」を強く疑う漱石を愛読はしても、『坂の上の雲』の登場人物として迎え入れるにためらった理由が理解できようかと思います」(110頁)。 「「どの歴史時代の精神も三十年以上はつづきがたい」とは司馬遼太郎一流のいいかたです。この考えが『坂の上の雲』全体をつらぬいている一種の「無常」感の背景に、厳としてあるように思われます」(270頁)。 「教科書的には肯定的に扱われる「大正デモクラシー」ですが、「デモクラシー」の不規則かつ異常な肥大の末に、全員の政治参加「翼賛」があったことを私たちは忘れがちです」(300頁)。 他に、大岡昇平の『俘虜記』や国木田独歩の『号外』からの引用部分(275頁、277頁)や日欧における政軍関係観の相違に着目した部分(300頁)も印象的。『坂の上の雲』の世界に更に深く分け入りたい方にはまずは格好の副読本の一であると思う。
6 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
オリジナルを深読みできます,
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レビュー対象商品: 「坂の上の雲」と日本人 (文春文庫) (文庫)
司馬が夏目漱石のことを詳しく書いていない理由は?司馬にとって日本人の"アイデンティティー"とは? 司馬が乃木希典に冷たい視線を注ぐ理由は? さらに日露戦争開戦前夜の御前会議「封緘命令」はいかにして届けられたのか? 話は変わるが、司馬が"辺境"を中心に「街道を行く」理由は? 司馬が、赤穂浪士の討ち入りに興味がない理由は? 「坂の上の雲」と司馬史観について、関川氏は筆者独特の視点から、さらにまた他の評論からの引用文を駆使して興味深く論じています。 また、オリジナル本をより深く詳しく読みたい読者のために、司馬の他の作品をも含め、関連図書・参考文献を盛り沢山紹介しています。 漱石が「永日小品」の「下宿」「クレイグ先生」を書いた経緯とか、文庫本の解説を書いている島田謹二氏の著作、ソフィア・フォン・タイル女史の「ロシア人捕虜の妻の日記」(As the Hague Ordains)とか興味が尽きません。また推理小説の大家ディクスン・カーが明石元二郎大佐から名前を拝借した探偵を設定しているのも日本人として興味深いところです。 「坂の上の雲」は、関川氏の表現をそのまま使わせてもらえば、「反体制色に満ちた印象の時代である」1968年に産経新聞紙上に連載が始まり、「青年層の反体制的心情が急激に萎縮した」1972年に連載が終了しているということ、これまた印象深いことです。 司馬の言葉を借りれば、「カキ殻をとって」「電池を入れ替えれば」、時代精神であれ会社であれ変貌し延命できるということでしょうか。
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