著者は地質学に革新をもたらした著名な学者である.断片的に聞こえてきた著者の異説地球温暖化論がここに詳述されている.一般書なので,細かな出典などはないが,説得力は十分にある.スーパーコンピューターによる数値解析の限界,それよりも地球に残された豊富な証拠に基づく気候分析のほうがはるかに信用できる.そこから導かれる寒冷化の予測に対して,我々はどうすべきかについての具体策にも言及されている.
今の温暖化防止対策のほとんどはムダではなく,それに加えて人口抑制とエネルギー,水,食料の確保を指摘している.興味深いところでは,化学物質の乱造によって生態系,人間に未知の危機が生じていることを警告している.これも地球進化と生物進化の知見に基づいている.
ただ,本来の気候変動の鍵とされる,宇宙線が雲をつくるメカニズムは,この本でもイマイチよくわからない.今後の学際的な気候変動研究の進展に期待したい.