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8 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
入試現代文における混迷を描く,
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レビュー対象商品: 「国語」入試の近現代史 (講談社選書メチエ) (単行本(ソフトカバー))
入試科目としての「国語」、特に「現代文」について、どのような文章が取り上げられたか、どのような設問がなされたか、そして、それをめぐってどのような言説があらわれたのか、といった側面を中心に、明治から共通一次試験導入時までの流れを考察したものです。明治の学制開始以来、高等学校や大学の入試の「国語」は、「古典」の訓詁注釈だったのが、大正10年(1921)、当時現役の著述家の作品(文語ですが)が取り上げられ、設問も語義説明から論旨を問うものが出てきます。そういう設問自体が、実は「読み方」を要請しました。すなわち、 「同じ文章を繰り返し読んで内容を把握するという作業は、あたかも、はるか昔から受け継がれてきた読書法の基本のようにみえるかもしれないが、実は、この時代に登場した新しい読み方だったのである」(37頁) そして、 「入試現代文が定着したことによって、私たちはただ文章を「解釈」するだけでなく、まるで誰かに向けて説明するように文章を読むことを強いられるようになったということである。」(40頁) このように入試現代文は、大げさに言えば、「読むこと」のあり方を左右してきたのですが、さらにそれは、読書経験や鑑賞力、教養といった「人物」を判定するものでもあり、また、戦時下においては日本精神を有無を問うものでもありました。 戦後は、民主主義だの戦前の反省だの客観性だの様々なことが入試現代文に振りかかり、混迷を極め、現在にいたります。 たとえば、かつて小林秀雄の文章が入試の常連だったことについては、「わかりにくさを歯ごたえと錯覚し、そのわかりにくい表現を噛み砕いていくことに文章を読むことの面白さがあると信じ込んだ「文学かぶれの教育者」による崇拝意識」と断じています。 そのほかいろいろ興味深いことがあります。国語教育に関わっている方はもちろん、大学入試で現代文を受験した方にも一読をすすめます。 ちなみに、著者は古典文学に疎い方のようで、63頁に、入試問題に出題された近代文学の作品例として「桐一葉」「近代秀歌」「若菜集」があがっていますが、「近代秀歌」は鎌倉時代の藤原定家の作品です。読者はお気をつけて。
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