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「即興詩人」のイタリア (ちくま文庫)
 
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「即興詩人」のイタリア (ちくま文庫) [単行本]

森 まゆみ
5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

アンデルセン=鴎外が描き出す成長物語の舞台へ

いったい私は「即興詩人」を携え、ローマへ続く道をたどった何人目の日本人だったのだろうか。

「即興詩人」は波乱万丈の物語で、偶然の出会いと附合があまりにも多い。とはいえ、私たちにもローマを起点に、イタリア全土を経めぐり、あまりにも多くの偶然に出くわしたのだった。昼下がりの露舗で見つけたバルベリーニ広場の銅版画、エジェリアの洞を探しあぐねたときに草むらから突然現れたおじいさん、リペッタ通りのボルゲーゼ宮にばったり突き当たりボルゲーゼ邸との違いに気づいたこと、キケロの墓の発見など、再現しようと思ってもできない新鮮な驚きに満ちた旅であった。――(本文より)
--このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。

内容(「BOOK」データベースより)

「ロオマに往きしことある人はピアツツア、バルベリイニを知りたるべし」、文語による翻訳の精華といわれる鴎外訳「即興詩人」。作中の一文一文に導かれ、著者は作品の舞台であるイタリアを端から訪ね歩く。今も語る風景は単なる観光案内にとどまらず、豊穣なヨーロッパの歴史、文化、美術、音楽の姿を垣間見せる。練達の著者による文学紀行エッセー。第12回JTB紀行文学大賞受賞作。

登録情報

  • 単行本: 410ページ
  • 出版社: 筑摩書房 (2011/5/12)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4480428259
  • ISBN-13: 978-4480428257
  • 発売日: 2011/5/12
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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By ボーン・ウイナー VINE™ メンバー
形式:単行本
2003年に初版本を買って、今日まで未読で放ってあったのを後悔している。
本書は講談社の読書雑誌「本」に数年に亘って連載されていた旅行エッセーを単行本にまとめたものである。
明治の文豪、森鴎外が童話作家として有名なアンデルセンの「即興詩人」を翻訳して「原作以上のできばえ」として絶賛を浴びたが、この物語の主人公アントニオのイタリア一周恋愛冒険譚の道すがらを丹念に足跡を辿って、再現した旅行記である。
イタリアという国中が博物館みたいな土地柄もあるが、1830年にアンデルセンが書き、明治35年に森鴎外が翻訳した小説に出てくるホテル、レストラン、教会から小道にいたるまで、森まゆみの執拗な好奇心は殆ど全部探し出し、それぞれの場所で感慨にふける。作者は本書を上梓するまでに4回のイタリア取材旅行を試みているが、それ自体がイタリア観光案内をかねたような本の出来栄えになっている。
現代の人々にとっては森鴎外の「即興詩人」はとっつきやすいものではないが本書によって、その真髄の片鱗に触れることができる。
なによりも羨ましいのは、著者が自由に時間を使って、アントニオの足跡を辿り、自由にホテルを選び、読んでいると涎の垂れそうにおいしそうなイタリア料理を堪能していることである。私は「即興詩人」も無理して読んだし、10年程前にイタリア旅行もしたことがある。そのとき、この本を持っていけたらなーと、今更ながら残念なきがする。
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形式:単行本
 『即興詩人』は、「みにくいアヒルの子」や「マッチ売りの少女」などの童話作家として有名なアンデルセンの自伝的小説のドイツ語訳を森鴎外が日本語に訳したものであり、文語体(雅文体)で難しい漢字も多くて読みにくいが、本書は、その物語の主人公の足跡を尋ねて画家・安野光雅氏と共にイタリアを旅した著者による旅行記である。
 鴎外の翻訳文を引用し、それを解説しながら作品に登場する名所旧跡や事件や出会いのあった場所を探し求める。地下鉄のキップを買うときの苦労話や、どこのホテルに泊まって、どこでどんな料理を食べたのか、こと細かく書いてあるのでイタリア旅行のヒントにもなる。私はローマの地図を広げながら読んだが、通りや建物の名前の由来など、ときには現地の図書館で尋ねて調べてもらったことを書いてあるので、ガイドブックなどに載っていない情報も少なくないし、イタリアの文化や社会事情などの記述も面白い。
 鴎外の他の作品にも触れながら、そこに登場する人物の生い立ちや人間関係やストーリーの類似から、鴎外はそれらの作品のネタをこの『即興詩人』から取ったのではないかと著者は述べる。
 著者は『即興詩人』の追跡のために結局4回もイタリアに行ったが、その境遇(ヒマとカネがあるからできること)がうらやましいし、そこまで惚れこむような作品に出会いたいものだと思った。
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形式:単行本
 森鴎外訳「即興詩人」はアンデルセンがデンマーク語で書いた原著をドイツ語訳から重訳したもので、雅文文語体の訳文は原作以上の名文と評価が高い(原作以上といっても、実際は独訳との比較らしい)。欧州ではアンデルセンは童話こそ有名だが小説「即興詩人」は今ではほとんど忘れられている。これは原著者のイタリア体験に基づく作品だが、通俗的な青春物語で文学的感動にはほど遠いからだろう。しかし日本での鴎外訳「即興詩人」は明治の青年に感動を与え、戦前のイタリアに渡航した人々にとっては必携品であり愛読書だったし、今も版を改め読み継がれている。
 本書は、鴎外崇拝者で文語文大好きの森まゆみさんが、「即興詩人」の文庫本を片手に、主人公アントニオと同じくローマを起点にイタリア各地を巡る。スペイン階段や青の洞窟などの名所ではアンデルセン当時の情景が今も残っているし、観光客が訪れることも稀な郊外の荒野や洞、キケロの墓なども熱心に探しだす。随所で鴎外の訳文と眼前の光景を比較するが、イタリアの地を踏むことのなかった鴎外の見事な活写に幾度も感嘆する。
 鴎外の翻訳は、当時の日本語の語彙にはなかった回廊や祭壇といった語を廊(わたどの)や贄卓(にえづくえ)と訳し、文献でしか知り得ない南欧の食物や植物の訳にも苦心の跡がうかがえる。また小説中の手紙や遺書は候文に訳しているが、全体と馴染み違和感はない。さらに、アンデルセンの描いたイタリア各地の画が数多く挿まれておりこれもまた楽しい。
 ただ著者は鴎外が「即興詩人」の翻訳に足掛け10年の歳月と心血を注いだわけを、歌姫アヌンチャタにドイツ留学時の恋人(「舞姫」のモデル)の面影を重ねていたと解くが如何だろう。文学紀行に異議は野暮かもしれないが、鴎外の熱意の背景には西洋文明の故郷としてのイタリアへの強い憬れがあったのではなかろうか。
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