タイトルに「上陸記」とあるが、2002年に著者が実際に訪れた国後・択捉島内の様子を記しているのは第1章のみである。それ以外の8章では、返還運動の歴史や外交交渉での紆余曲折が描かれている。
1960年生まれの私は、北方領土問題の変遷をリアルタイムで知っている世代とも言えるが、やはりこのような形で誰かにまとめてもらわないと、全体像を理解できない。エリツィンが大統領の時、日本にとって最大の好機が訪れていたのだと今さらながら知ったのである。彼がもっと自分の健康に留意していれば…。こう言ったことを含め、私にとって一番興味深かったのは外交交渉の経緯である。
タイトルは本書の内容に相応しくない。上陸記としてでなく、北方領土問題の全体像を掴むために読むべき著作である。