最近、世上でも騒がれるようになった密約。核密約のことばかり取りあげるきらいがあるが、本当に深刻な問題が見えづらくなっている気がしていた。日米同盟を支える上で日本が払ってきたコストそのものから目隠しをされてきたことこそ核心だと本書は教えてくれる。
それは、非核三原則を守るといいながら核兵器を積んだ米艦船が行き来するのを黙認してきたことだけではない。他国の軍に基地を貸して、机上の安保論争を繰り広げている間に同盟の現場で起きていた本当のことを、アメリカの公文書を丹念に調査して白日の下にさらしている。
沖縄返還での軍用地補償をめぐる密約の記述は少々、分かりづらいが歴代の自民党首相や大統領が発した生身の言葉で外交の実態が綴られているため全体としては読み応えが十分だ。
自民党が嘘を付いてきた!というだけでは日本外交の問題は何一つ解決しない。本書が示すように見え透いた嘘を見過ごし、知ることを人に委ねてきた国民自体が変わらなければ、民主党の監視もままならない。そのための本当に知るヒントがここにはありそうだ。