小説作品において、作者はどこまでその〈主体〉として存在するのか。ひところ、「誰が話そうとかまわないではないか」(ベケット)、「作者の死」(バル)といったセンセーショナルな言葉で、テクスト論が一世を風靡しました。しかし、これは実際の創作あるいは読みの現場を誤解していたのではないでしょうか。本書は、谷崎潤一郎、大江健三郎、漱石、大岡昇平、村上春樹などの緻密な分析を通じて、作者は死んだのではなく、別のかたち、〈機能としての作者〉として生きていることを論証しようとします。最近の加藤典洋『テクストから遠く離れて』などとも通じる、新しい文学理論の誕生です。
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