「伝える言葉」は、2004年4月から06年3月まで朝日新聞に毎月連載されていたもの。24の言葉についてしっかりした文言で簡潔に語られており、じっくり味わうことが出来る。読み返すことで、現在の社会に対する注意力が養われる。
タイトルの「プラス」は、「伝える言葉」以外の3つの言葉を意味している。最初の「記憶してください。かれはこんな風にして生きて来たのです。」は夏目漱石の「こころ」のワンフレーズ「記憶して下さい。私はこんな風にして生きて来たのです」の『私』を『かれ』(大江健三郎さんの長男の“光”さん)に置き換えて文章にしたもの。2つ目は「教育の力にまつべきものである」で、既に削除されたが、旧教育基本法の前文に掲げられていた名句。3つ目は「ひとりの子供が流す一滴の涙の代償として」で、ドストエフスキー『カラマゾフの兄弟』の一節から引用したもの。いずれも心に響く言葉である。