本書は、特撮ヒーロー番組『仮面ライダー響鬼』の企画段階から放送直前まで物語の基本設定作りに携わったライター兼エディターの回想記(?)だ。当初『響鬼』が仮面ライダーとは全く別の新しいヒーロー物として構想されていたこと、それがスポンサーサイドの強権発動で覆されて木に竹を接ぐようにして『仮面ライダー』になったことなど、数々の興味深い内幕が綴られている。「完全新生」を謳った内実がこんなものだったとは……!
確かに『響鬼』はあまりにも異色なライダーだったが、これなら納得がいくというもの。
著者の後書きによると本書は製作会社である東映の反対を押し切る形で出版に至ったという。「本書の刊行によって、東映作品がらみの仕事が来ることはまず、なくなった。ということは、特撮ライターとしての命脈を事実上絶たれたことになる。」とは著者の弁だが、本当にそうだろうか? 番組制作の楽屋裏を公開されて東映に喜ぶ理由はないにしろ、別にダメージも大してなかろうというのが読後の感想だ。東映がそんなに狭量な会社でないことを祈りたい。
正直なところ、諸々の制約を受けて読み物としては中途半端な内容になってしまっていると思うが、現在のキャラクタービジネスの一端を窺い知るに有益な素材だ。