会社を中心とする社会生活も長年となり、愈々定年という道標が望めるような年代に到達した時、人生の答なるものに漠然とした興味が沸いていた。丁度書店でこの著書を見かけて購入し、読んだのが実情である。人生の答がこの著書において直接的に用意されているわけではないが、答は積極的に我々が作りにいかなければ得られないものと説得させられた。多様な生き方とそれに対応したテーマが取り上げられており、順次吟味することになる。その類型をいくつか紹介しておこう。なお、「生きがい」という妙薬、この問題が厳しくのしかかってくるのは重い病気になった時である。
・「死を創る時代」を実践した記者、死出の旅を家族や友人達と心を通わせ創っていく
・石仏に人生を映した女性写真家、「人生の完成」とは何かを石仏に映して追い求めた写真集
・遺書-死者の言葉のリアリティ、一枚の紙に記された言葉の一つ一つに、実在した人間、生活と人生を共有した人間、愛し合った人間の肉声、息づかい、いのちの響きを感じ取る
・読むことは生きる営み-納得のいく形で闘病し、或いは病気の家族のケアをする知識と情報 が必要なのだ
・人生後半に知る絵本の深み
・トキを愛した男の言葉ー自然界に生きるいのちあるものを、人間と同じようにかけがえのないものとして護り続けた男の生き様の物語
・行政と専門家の独善を正す道、専門的職業人と行政・企業・学問の組織が、今まさに水俣病事件から学ぶべき課題
・四歳の妹の死からの出発-拝啓・A・デーケン先生