人口減少社会の下では、生活者は自分自身で生涯を設計し、それに基づいて消費と貯蓄、労働と余暇の計画的配分を心がけるという新たなライフスタイルへ移行すると指摘。そのために我々は何をなすべきかを論じていく。
まずは冷静に現状を分析する。これから半世紀で日本人の人口は4000万人減少するという予測や、労働人口の構成比の推移などを示し、経済成長率が最低となる時代を具体的に描く。しかし、これらを見越したうえで「人口減少経済」のメカニズムを理解すれば、企業や地域社会が生き残る方策は必ずあるというのが著者の主張である。キーワードは「スリム化」と「多様化」だ。生産の機械化などによる省力化は根本解決にはならないとし、必要なのは売上高の拡大ではなく、多様な付加価値を、多様な個人に提供できる「付加価値率の向上」であるとする。政府や地方自治体に対しても、早急なスリム化の必要性を訴えている。
(日経ビジネス 2004/07/12 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)
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本書は、そんな「人口が減る社会」である21世紀の日本経済について、企業経営、地域経済、マクロ経済の動向、財政政策への示唆などについて、1980年代からの日本の足取りを踏まえてシミュレーションし、その中でありうべき人々の生活について論じた書である。
本書の現状分析に関しては、特に企業経営の評価(資本装備や人件費の分析)などにおいて「えっ?」と思う人も多いと思うし、そのように直感的な理解とは相当食い違いがあることも書いてあり、また将来の想定については、無論一定の仮定を置いているので、どこまでこれが正確で、どこまで自分の持っている経済社会観と整合的であると評価するかどうかについては、読者ごとにかなりのずれがありうると思う。多分20年後に読んだら、やっぱり違ったじゃないか、と思う部分も相当あるのではないか。しかしながら、人口動態という相当の確度で予測可能な事実を元に、これだけ自分の人生にかかわる幅広い事柄に関し将来のシミュレーションができること自体は、上記の「思考停止」を打ち破り、自分なりの将来観を形成し、これに基づき生活や投資などの個別行動戦略を策定するという、マクロ的な思考の糸口になりうるもので、その意味で非常に知的に刺激的な書であると思う。
まさに人口減少時代に突入するこのタイミングにおいて、ぜひお勧めの書である。
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