交渉技術としては、論理を駆使する方法と、心理面で優位にたつ方法の2つがある。
前者の傑作として、「ハーバード流交渉術」や、「実践・交渉のセオリー」がある。
いずれも論理を駆使した正攻法のフレームを提示してくれている。
但し、弁護士やコンサルでもない限り、論理を駆使して交渉に勝つ局面というのは意外と少ない。
我々市井のものは、論理を知るものにとっては陳腐としかいいようのない交渉術に打ち負かされ苦汁をなめることのほうが圧倒的に多いものだ。
例えば、「頼むよ。」「無理だよ。」「頼むよ。」「頼むよ。」「しょうがないな。」のような論法は、
3段論法を知るものにとっては「トートロジー」でしかなく陳腐きわまりない。
しかし、現実には力関係や、押しの強さの問題から、この論法は陳腐ながら恐ろしいぐらいに有効な論法でもある。
こうした、論理の世界からは、「陳腐きわまりないが有効な」論法を心理面から幅広く紹介してくれているのが本書だ。
多くの心理学の学説の抜粋に過ぎない面は否定できないが、なればこそ通読してオイシイと思ったところだけ記憶すればいいのだ。
但し、テクニックを鵜呑みにしても、「生兵法は怪我のもと」を地でいくことになるだろうが・・・。
まぁ、怪我をしながら交渉がうまくなっていくと割り切ってどんどん怪我をすればいいのだろう。
スキーではないが、転んでいるうちに上手くなるのだろうから。
ともあれ、心理面からのアプローチでこうも実戦的に書かれた本は少ないので、一読する価値は高いと思う。
また、この本に感銘したひとは、同じく心理面からのアプローチ中心の「議論に絶対負けない法」をお薦めする。