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「亡国農政」の終焉 (ベスト新書)
 
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「亡国農政」の終焉 (ベスト新書) [新書]

山下 一仁
5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

民主党政権に、日本の食料安全保障を任せられるのか? 農林水産省が国民にしてきた裏切りとは? 族議員-農水官僚-農協の「農政トライアングル」を根底から覆す一大変化とは?
元農林キャリア官僚が、日本農政の「これまで」と「これから」を暴く! ベストセラー『農協の大罪』に続く新書第2弾! 農林水産省の実態や、国際交渉の裏側もわかる!

内容(「BOOK」データベースより)

2009年9月、鳩山民主党政権が誕生した。新政権は旧来のバラマキ政治を批判し、「脱官僚」を旗印に掲げている。かつて「自民党農林族」と呼ばれた政治家たちは、多くがその地位を失った。JA農協、農林水産省、族議員―。この「農政トライアングル」は、民主党政権の農業政策により、大きく形を変えていく。だが、三者の関係の変化がすぐさま、日本農業の復活を意味するわけではない。自民党農林族がいたように、「民主党農林族」も存在するからだ。本当の農業復活は、民主党政権後にスタートする!本書では、元農林キャリア官僚である著者が、農林水産省の実態を浮き彫りにしつつ、族議員、農協との関係に切り込む。

登録情報

  • 新書: 224ページ
  • 出版社: ベストセラーズ (2009/11/7)
  • ISBN-10: 4584122571
  • ISBN-13: 978-4584122570
  • 発売日: 2009/11/7
  • 商品の寸法: 17.4 x 10.8 x 1.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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23 人中、22人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 革命人士 トップ500レビュアー
形式:新書
この数年来、農業政策のあるべき姿を一貫して明解に指し示し続けている著者の回顧的な農業政策論。税金を出して減反させて高米価を維持し、770%の関税を輸入米にかける。国民に何重もの負担を強いている米政策について、著者は本書でも繰り返し「減反廃止、主業農家への補助金直接支払い、関税値下げ&MA廃止」で多くの懸案を解決できることを訴えている。また、農協の意をくんだ族議員に振り回されるだけになった農水省について、国民利益ではなく、兼業農家、農協の視点しかない体質を本書で改めて指摘している。

本書を読むと、「三つの『白』を経験すると出世する」といったかつての農水の組織原理や、国士的農水官僚の存在、山中貞則、松岡利勝ら、族議員の権化のように見えた政治家の農政向上へかける思いがはっきり見える。著者の体験したガット交渉、日米コメ交渉の内幕も面白い。また、柳田国男から農地改革に至るまで、小作制度を中心とした農業政策小史も書かれている。

組合ヤミ専従、MA米不正など、この10年来の農水省の体たらくを見るにつけ、著者の先見の明は明らかだ。確かに、組織の意見と異なる著者を生かし切れず、民主党の政策を批判をした次官が2ヶ月後にわびを入れるような農水省は本当にへたれ組織だと思う。だが、本書を読んでいると、著者も「自分はこんなにできた」という反面、在任中首尾良くいかなかった案件には、「私には権限がなかった」「意欲はあったのに排除された」となる。自分も組織の末端にいて、気持ちは分かる。だが、局次長まで務めたのに、農水省幹部は経済知識のない無能集団だ、という記述を繰り返し見ると、農水省の同僚が著者に「評論家」と呼び、組織から排除されたというのも、仕方なかったのかなという気もする。

著者の自負はともかく、言っていることは全く筋が通っているし、農政の過去と未来を俯瞰できる良い本である。
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16 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By beer
形式:新書
著者の従来からの主張は次のようなものである。農産物の関税を削減し,農産物価格の下落によって国内の需要を喚起させるとともに,海外への輸出を促進する。農産物の価格下落によって苦しくなる主業農家に対して直接支払を行うことで経営を支援し,零細農家を農業から退出させる構造改革を行うことによって,日本農業を強化するべきだ。この改革を阻害しているのは,自民党農林族とJAおよび農水省である。

本書はこれらの主張を,政権交代等の近年の動きを踏まえて補強するものである。次の2点は興味深く驚きであった。

1つは自殺した松岡元農相は実は農産物の自由化論者であったという記述である。
ゴリゴリの農林族で農家保護の名目で農業利権を貪る政治家というイメージを私は持っていたがが,著者によると,高い農政の理念を持ち,農産物の自由化によって日本農業の活路を見いだそうとしていたとのことである。その根拠は必ずしも明快ではないが,詳細はまだ書けないというニュアンスも感じられる。巷のイメージと正反対であり興味深い。

2つ目は,日本では麦や大豆の自給率を上げる政策は無意味であり,稲作により力を入れるべきという点である。私は,わが国では米はほぼ自給できているので,自給率の低い麦大豆を補助金で増産させることができれば自給率の向上につながると考えていた。しかし国産麦大豆は品質が悪く,これらの作物を政策で維持するには莫大な財政支出が必要になる一方,販売先も乏しい。それよりは国際的に評価の高い米の生産に力を入れ,輸出を行いつつ水田を維持することで,いざと言う時の備えにもなると著者は言う。

いずれも一般に言われていることとはかなり異なる。それほど農業・農政に関しては歪められた情報・イメージが流布しているということなのだろうか。本書はなかなか刺激的である。
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3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By touten2010 トップ1000レビュアー
形式:新書
高級農水省官僚はどのように働いているのか、入省したての時は帰宅が朝になってしまうほどこき使われ、少し偉くなるとごますりの方が政策立案能力よりも必要となるようになるのがよく分かる。農水省へ就職を考えている人はまだ引き返せるうちに読んでおくべき。

戦前・戦後に活躍した農水省官僚がいかに偉く、小作人の解放を悲願とし、投獄されることもあるものであったか、その後継者たる現在の高級官僚がいかに無能で堕落しているかがしつこく描かれる。

その中には、「農水省は政治で決まった米価の根拠を後付けで算出していた」「平成21年に表沙汰になった無許可専従問題は、昔から農水省の人事担当部局は知っていた省内の公然の秘密であり、10年近く前に山下氏がその解消を図ったところ、人事担当部局の抵抗でつぶされてしまった」といったかなりスキャンダラスな内容もとりあげられていて面白い。(この内容がなぜ世間では全く話題にならないのだろうか?)

山下理論は「生産調整を止め、低米価を実現し、専業農家のみに所得保障をすることにより、零細農家を稲作から退出させ農地を専業農家に集中させて生産性を向上させる。消費者は安い米が食え、低米価なので関税をゼロにしても良いので、貿易自由化も可能になり、加えて米の輸出により米の増産が可能となり耕作放棄地の解消も可能となる。」という夢のような理論であり、「それを妨害しているのは農協とそれに頼った政治家と堕落した農水官僚のトライアングルである」と極めてわかり易い説なのだが、その切の根拠には「所得補償に必要な財源額は生産調整実施に必要な支援策の維持に必要な額は同じなので、追加的な国民負担は無い」「米の内外価格差は1.5倍程度に収まってきているので、所得補償に必要な額は少なくなってきている」という極めて疑わしいことが前提となっている。このあたりはあまりきちんと議論されていないので、農業経済学者のどなたかに是非検証してもらいたい。

どちらにしても、本当に農業を守りたい人は、農家も消費者も団体や政治家、官僚まかせにしてはいけないことが良く解かる。
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