著者の書評集だが、「なぜ書評するに値するか」(値しない本は載せていないし、そもそも著者の書評欄では取り上げないらしい)が良く伝わる本だ。更に、単に本の概要紹介や称賛をするのではなく、一冊の本を評するに際して、時に別の複数の本からの一節を引用して書評を行っているところは、著者の幅広く大量の読書量があるからなせる技で、とても味わいがある。TVで聞くコメントと同じで誠実なお人柄を感じさせる。無論、各本の特記事項も掲載されており、
-日本が米国や旧ソ連のような人口国家と異なる自然的国家であるが故に伝統的に国家戦略が欠落してきた(中曽根)
とのフレーズには、思わず「なるほど!必要性の差か」と納得してしまった。一方、
-ポピュリズム(大衆迎合主義)
と繰り返しているけれど、俗にそう言われてはいるものの、この日本語は本当に正確なのか?と思ったりもした。
ついでに誤植も加えると、
-311頁の「三木」は「福田」ではないかと思う
毎日毎日新しく出版される多数の中で、読むべき本のリストを得たようなものだ。市井の読書人にとって耐えられまい。