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「不自由」論―「何でも自己決定」の限界 (ちくま新書)
 
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「不自由」論―「何でも自己決定」の限界 (ちくま新書) [新書]

仲正 昌樹
5つ星のうち 3.9  レビューをすべて見る (17件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

グローバル化の進展につれて、何かにつけて「自己決定」が求められるようになってきた。その背景には、人間は「自由な主体」であるという考え方がある。しかし人間は、すべてを「主体的」に決められるわけではない。実際、「自由な主体」同士の合意によって社会がつくられるという西欧近代の考えは、ほころび始めてきた。こうした「ポスト・モダン」状況にあって我々は、どう振る舞えばいいのか?そもそも「自由な主体」という人間観は、どう形成されたのか?こうした問いを深く追究した本書は、近代社会の前提を根底から問い直す、新しい思想の試みだ。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

仲正 昌樹
1963年広島県生まれ。東京大学総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程修了(学術博士)。現在、金沢大学法学部助教授。社会思想史・比較文学を専攻。文学や政治、法、歴史などの領域について、アクチュアリティの高い言論活動を展開(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 新書: 215ページ
  • 出版社: 筑摩書房 (2003/09)
  • ISBN-10: 4480061320
  • ISBN-13: 978-4480061324
  • 発売日: 2003/09
  • 商品の寸法: 17.2 x 10.6 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.9  レビューをすべて見る (17件のカスタマーレビュー)
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40 人中、35人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 思想の力が再認識できる良書, 2004/11/24
レビュー対象商品: 「不自由」論―「何でも自己決定」の限界 (ちくま新書) (新書)
デリダの「音声中心主義」批判を軸に、「自由な主体」をめぐる議論を展開する。説明は平明でわかりやすい。かといって、議論のレベルは決して低くない。リベラリズム・リバタリアニズム・コミュニタリアニズムの議論をきちんとおさえておきたい者にとっては、良い入門書・解説書となるだろう。

また、この本を読んで、思想の力を改めて知った。本書は、教育を初めとするアクチュアルな議論にも積極的に踏みこんでおり、単なる空理空論に終始していない。もし、社会思想を難解で退屈なものと思い込んでいる方がいるなら、ぜひ一読してみてほしい。(ただし、結論部の「非主体的な主体としてのマルチチュード」は、やっぱり具体性に欠けるかな。)また、社会政策・教育政策に関心のある方にも、ぜひ一読をお勧めしたい。本書は、そうした現場の問題に対しても、有効な答えを導き出すためのよい指針となるはずである。逆にいえば、本書を読むと、思想のない政策論議がいかに無意味なものか痛感することになるだろう。

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26 人中、22人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 コメント, 2004/11/7
レビュー対象商品: 「不自由」論―「何でも自己決定」の限界 (ちくま新書) (新書)
半日で読めるが質は高い。これだけは最低限押さえておきたいという
認識が述べられているという意味で推薦できる。宮台真司・齋藤孝・西尾幹二・林道義など各氏に対する批評(かなり平明にしたデリダの「音声中心主義批判」がその骨子だが、必ずしも「批判」ではなく概ね「正当に評価」している)や「マルチチュード」の位置づけも、ベースラインを引いたという意味で適切である。ただかなり惜しまれるのは、こうした上質でクリアな論を、最後に一挙にドウルシラ・コーネルのそれ自体としては凡庸な(フロイトの「投影的同一視」の焼き直しバージョンに過ぎない)「イマジナリーな領域」論でまとめてしまったことだ。杞憂かもしれないが、氏のそれまでの論がこれによって(とくに「フェミニズム・精神分析またかよ」といった人たちによって)過小評価またはゴミ箱行きにされてしまわないか案じる。
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17 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 自己決定を押し付けることの危険さ, 2007/3/27
レビュー対象商品: 「不自由」論―「何でも自己決定」の限界 (ちくま新書) (新書)
本来、「人間は自分のことは自分で決めることのできる能力を持っているはず」という考えが、実は虚構ではないかという本である。難しい用語はないが、明快な結論を主張するわけでもないので、よく読み込まないと読後感が残らないことになりそうで要注意である。

最初にアーレントを取り上げて「人間性」の限界について述べてあるが、その「人間性」とは、古代ギリシャで生活の糧を奴隷に依存することによって、経済的利害から自由となった市民にだけ初めて可能となった自由な思考のこととしている。しかし、人間性という概念は一般の読者にとっては、他者を思いやる温かい心といった人間らしさの意味に過ぎず、著者の言う「人間性」は最初から「ポリス的市民性」とでも読み替えた方が理解し易い。

また、第二章で論ぜられる「ヒューマニズム」も、我々には人道主義や博愛主義としか理解されていない。著者も、ここでの「ヒューマニズム」は古代ギリシャ・ローマの文芸復興に繋がる「人文主義」としているが、最初からそう読み替えた方がはるかに理解し易い。

こういった諸概念を成立させた環境がなくなってきたことを自由な思考が困難であることの根拠のひとつとしている。しかし、著者も認めているが、日本人は古代ギリシャの文化的伝統とは無縁である。著者の言う「人間性」や「ヒューマニズム」をひとつの理想型として考えることの意義は、欧米人はともかく日本人には疑問に感じられた。

ここまでくると、敗戦の焦土の中から、高品質の工業製品を送り出す能力や犯罪の少なさで、他国を圧倒する社会を作り上げた日本人の思考能力やコミュニケーション能力について、舶来品の思考から離れて考えるべきではないかという気がしてならなかった。

後半の、自分で考えることのできるようにする教育や、自分で考える権利や義務の条件についての二章は、現代日本で行なわれる建て前の欺瞞の指摘が痛快である。

一読をお奨めします。
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