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53 人中、49人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
医者の本音がここに,
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レビュー対象商品: 「スーパー名医」が医療を壊す (祥伝社新書187) (祥伝社新書 187) (新書)
本書のタイトルにはやや誤解を招くところがあり、「患者の「医師は無償の完璧でないと絶対に許さない」という幻想が医療崩壊を招いた、の意味となろう。私自身医師であり、著者(ご本人が述べるようにタレント医者でもその道の権威でもないごく平凡な臨床医である)の意見には非常に共感した。著者はドラマや漫画を引き合いにし、患者の医師に対する感情を明らかにしていく。漫画ではゴッドハンドがでるが実はそれは患者の医師に対する期待ではなく、「医師は自分たちのため医師の人生を全て犠牲にして死ね」という残酷な意味合いがある。それが我々本職が医療ドラマをみて共感できない一因だろう。さらに著者は(実はここまではっきりと記載する医師はいそうであまりいない)はっきりと「社会は医師が大嫌いである」と書くが私もそれは現場ではっきりと感じる。私自身僻地で医療に従事したことがあるが、医師は村の名士どころか挨拶しても看護師や教師には無視されるたり一回もあったことのない女性から受診もしていないのに40分以上罵声をあびせられるなど散々な目にあい、へき地医療に対し絶望したものである。 結語に著者は日本人が「人間はいつか死ぬ、ということが理解されていない」のが問題と結ぶ。実際に患者から「95歳の早すぎる死」と言われたことのある私もその意見には全面的に賛成で、「医療崩壊」(といっても現在のように人類史上国民皆保険をできたことは現代日本とキューバ以外にはないだろう)を改善するにはハードの改善のみならず日本人の心のあり方にも目を向けるべきと著者とともに思うのだ。
13 人中、13人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
意見は色々あるだろうが、直視すべきだ,
By バグ (千葉県佐倉市) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 「スーパー名医」が医療を壊す (祥伝社新書187) (祥伝社新書 187) (新書)
レビューにも非難や皮肉が散見されるが、「医者性悪説」に立つ「医師以外」の人には噴飯ものの内容かもしれない。しかし、ごく普通の病院勤務医の本音は正に本書の内容にある。いい悪いを別にして、これが多くのごく普通の勤務医の考えていることだと知るべきである。よく本にしてくれたと感謝している。ドラマに出てくる若くて凄腕の天才外科医など実際いるわけはないし、ドラマの設定も実に荒唐無稽でいい加減、おかしなところばかりが目に付くが、「現場のリアル感を追求した」などという「売り文句」を真に受けて観ている人も結構多いことは確かだ。更にこれに輪をかけるように「ゴッドハンド」と呼ばれる医師たちが医療全体を偉そうに批評していることが火に油を注いでいる。彼らは膨大な広さを持つ医療のごく狭い分野のそれもごく一部の医療技術に優れているというだけでしかなく、日々苦闘している他の医師たちを愚弄する資格はないと断言したい。 昨今話題の「神様のカルテ」でもそうだが、医療ドラマでは過労死の危険にさらされながら、ろくなスキルアップも出来ない環境下、薄給で奮闘する医師を持ち上げておいて、「大学医局の医師=権力欲に囚われた無能者の集団」という素人受けする実に下らないベタな設定がよく利用されている。先に述べたゴッドハンド医師の中にも口を開けば医局にたいする罵詈雑言に終始している愚か者がいる。医療と言うのは技術であり、技術はやはり何らかの徒弟制度という形の下で一番確実に継承される。医局というのはその一つの方便でしかなく、ほとんどの医師はそこで先輩から手取り足取り指導を受けて身に付け、それを後輩に伝えていく。そうやって自分のキャリアを磨くのが一般的な姿だ。運命共同体とか権力への階段などと考えているのはごく一部の特殊な連中であり、これは普通の会社員でも同じだろう。「今の医療の問題は供給側に責任がある」といって一方的に医療側を批判するのであれば、今の日本の医療システムを悪名高い現代のアメリカ式にしてしまったほうが非常にすっきり解決する。そして、実は医療側にとってもアメリカ式の方が効率や報酬の点でははるかに都合がよいのである。 馬鹿馬鹿しいが敢えて言う、サラリーマン全てが「島 耕作」であるべきだ、教師全てが「金八先生」であるべきだと批評されたら、批評された側は非難轟々であろう。自分たちのことを棚にあげて医師には過酷な環境で働くのが当然、完璧であるのが当然と言う要求は筋違いだ。
30 人中、28人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
「医療モノ」にツッコミつつ医療崩壊、倫理を論じる,
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レビュー対象商品: 「スーパー名医」が医療を壊す (祥伝社新書187) (祥伝社新書 187) (新書)
関西の医師だから…という訳ではないだろうが、指導医もする現役内科医が、現実にあり得ない医療ドラマ、漫画の設定や場面をユーモアたっぷりにツッコみつつ、医師不足、医療過誤などの医療問題や、技か心か、自己犠牲などの医療倫理の問題について議論を展開させていく。経歴を見ると、著者は一般向けの著書は初めてのようだが、文章は全く専門臭さを感じさせないこなれたものだ。また、「現役指導医から熱すぎる斎藤君(B・Jによろしく)へメッセージ」なんてウィットに富む記述から、指導医として体験した新研修制度問題の核心を突く指摘へ、淀みなく移っていく。昼はボランティア労働、夜は新人なのに当直バイトという旧制度での過酷な研修医の労働環境を改善しようと改正された新制度は、頼りないながらも戦力にしていた研修医を主治医はおろか点滴もできない、完全なお客さんにすることで、指導医は日常業務と研修医への指導の上、研修医がしていた雑用まで加わり、多忙に拍車がかかった、という。新型インフルの優先接種は、指導医より研修医が先なんていうのを聞くともはや…本末転倒である。医療ものの「ここがおかしい」という時も逐一実際のエピソードを例示し、合理的である理由も添えているので、なぜおかしいのか、納得もしやすい。 最後の方で、「医師性悪説」の代表的な批判について、少し反論をしているが、これだけ面白い文章を書けるなら、現場を知らない医療批判の批判も期待できる。第二弾でもっと、こってりやってほしい。
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