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18 人中、15人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
百万年後の子供のために300年間の家族は耐えてくれ,
By リョウグダ "グダ" (京都市) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 「ガンダム」の家族論 (ワニブックスPLUS新書) (新書)
ページ数は少なく読みやすいが、3月11日の大震災について発売直前に加筆というレベルではなく、全面的に改稿してあり、富野由悠季氏の情熱がうかがい知れる。地震後にガンダムエースという雑誌に連載作家から「頑張れ」というコメントが寄せられたが、その中で富野だけは「耐えてくれ」「千年前から、ここに住んできたのです。その間にも、自然に屈伏しながらも、また新しい時代を築いてきたのです。」と書いた。 本書もその様な調子で、単なる「ガンダム論」「家族論」だけではなく、氏のアニメーション作品と同じく文化やサブカルチャーや科学や歴史の枠を超え、富野氏の哲学が過去から未来に向けて縦横無尽に展開され、非常に刺激的な一冊である。 本書を貫くのは、「人類を百万年後も生き延びさせる」との信念である。家族は人間を紡ぐシステムの一番基本だから重要、という位置づけである。 しかし、そこは富野のこと、「家族を大事にしよう」という、その場限りで読み捨てられる新書に在りがちな甘い言葉ではない。 「日本や世界の人口は減少する」「エネルギーは有限であり、科学はそれを制御できない」「300年間は町に死体が溢れるだろう」と、冷徹とも言える主張がなされる。しかし、それに耐えて覚悟し、自らを律する修行の時代を越えて初めて、百万年後の家族を守る事が出来る。 これはそんな覚悟の本だ。
22 人中、16人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
富野由悠季が「家族」をテーマに自作品に触れた貴重な一書,
By ふる - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 「ガンダム」の家族論 (ワニブックスPLUS新書) (新書)
富野由悠季が自作品をあまり肯定的に触れないことは、(その作品のファンとしては残念なことに)よく知られたことであろう。本書は、決して自作品を肯定的に書いているわけではないが、アニメ冊子のインタビューのような否定的なことは言っていない。「家族」をテーマに、作品に込めたメッセージを読むことができ、その点においてとても貴重な本になっている。タイトルとなった『ガンダム』は当然ながら(本書のタイトルの付け方にも、富野はひと言意見を言っているが)、『トリトン』、『ザンボット3』、『ダイターン3』の初期作品にも家族というテーマがあるし、その辺りにも触れている。『イデオン』のドバが自身の投影であることは映画を見れば一目瞭然なのだが、それについても、シミュレーションの一つであったことをはっきりと語られている。 私が新たに発見したことの一つは、『機動戦士Vガンダム』について書かれた箇所で、「病気へと内向していく力が過剰にこもってしまった〜」、「〜状況に怒り、鬱憤晴らしを作品の中でやっていた」等と語られている部分で、そういう言い方はこれまではしてこなかったんじゃないかと思う。やたらと否定的に語られるVガンダムだが、何か負の力が強烈にほとばしる作品でもあった。それを作品(=芸術)というのは富野は鳥肌が立つほど嫌いだろうし、だからこそ失敗作として封印されているのだろうとも感じられた。後の『ブレンパワード』で綺麗に反転してみせて、Vガンダムにも「救い」がもたらされると見ることもできるのだが、そこに家族というテーマをより明確に置いたことも興味深い。 『F91』には特に多く言及しているが、富野由悠季が一つのテーマで自らの作品群を語るという点において、非常に興味深い一冊である。 『ダンバイン』のショウ・ザマや『Zガンダム』のカミーユ・ビダンに関してはほとんど触れられていないのが残念ではあるが(ある種の類型的な、親への強烈な反発と諦観を見せる主人公たちである)、『リーンの翼』小説完全版のコドールや、『ターンAガンダム』のディアナの母性に関する件は面白い。 また、3.11を経て、新たな時代へ向かう世代への提言を読み取ることで、この(ページ数としては薄い)新書には多くの学びの機会がある。
4 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
アムロ、我慢できます!,
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レビュー対象商品: 「ガンダム」の家族論 (ワニブックスPLUS新書) (新書)
「ガンダム」の家族論というタイトルで、得する人も損する人もいるかもしれない。僕はどちらかというと「損した」派だ。 なぜなら、そのタイトルのおかげで、今の今まで手に取ることがなかったのだから。 決して、単なるガンダム論の拡大版だと思って敬遠していたわけではないけれど、 読んでみたら、すごく面白い。ああ、これが富野節なのかと思う。 アニメという一見、閉じた世界の中に巧妙に仕掛けられた、 現実世界を生きるうえで避けられないテーゼの数々。 富野監督が堂々と述べているように「アニメという使える装置を利用して」 それまでのメディアが映し出していた、薄っぺらな家族観と相対したのだ。 そして、結婚とは愛ではない。富野監督は、この本の中でそう言ってるように思える。 結婚とは社会とどう付き合うか、戦っていくかのチームなのだ。 好きな相手というだけで結婚したのでは戦えないのだと。 このひとだったら我慢できるという部分があるかどうか。 好きな相手ではない。相手のことが嫌いではないということが重要なのだ。 富野監督夫妻が「10年経ってようやく君のことが好きになれたよ」「私だってそうよ」と 告白し合う場面がいい。深い。まるで向田邦子さんの物語の世界みたいだと思ったけれど、 どちらも人間の本質を描く達人と考えたら当然かもしれない。
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