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5つ星のうち 3.0
回顧録的な,
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レビュー対象商品: 「アンアン」1970 (平凡社新書 358) (新書)
an・anといえば、今では年に一回の「SEX特集」にて男女問わずに衆目を集めているが、日本の女性ファッション誌の草分け的存在だ。本書はan・anの創刊に立ち会い、後に編集長にもなる赤木洋一による回顧録。創刊前の右も左もわからぬパリでの強硬撮影から次々と迫ってくる締切に忙殺された約一年を主な対象としている。フランスのファッション誌「ELLE」の日本版としてのan・anの登場は、単なる女性ファッション誌一誌の創刊を意味するわけではない。あらゆるものの歴史は、カオスがコスモスへ収束していった先で事後的に「歴史」と名づけられたにすぎない。当時の雑誌といえば活版印刷が主流であり、カラーグラビアやオフセット印刷というものはあくまで「雑誌の添え物的存在」にすぎなかった。そんななか、それらを印刷するための輪転機をはじめとする諸制度が日本にまず存在してなかったところから、瞬く間に創刊までこぎ着けたのは力技というほかない。A4という雑誌のサイズも新たに製作費がかかると広告を出稿していた企業をしぶらせたという。販売利益ではなく広告収入を稼ぎ頭に据えるという現在では当たり前になっている雑誌メディアの収益構造も、an・anが打ち立てたものだ。にもかかわらず、あの「平凡パンチ」を「週刊プレイボーイ」で模倣された集英社に一年後には「non・no」として追随するのは、集英社の狡猾さと呼ぶべきものだろうか。 また、雑誌という場は新たなクリエイターを世に出す役割を担うが、an・an編集部にも「帰ってきたヨッパライ」を作詞した松山猛などの若者がたむろしていたという当時の状況は、エントリーシートに縛られない昭和のおおらかさを垣間見る。さらさらと素早く面白いコラムを書いて、あっという間にファンレターをもらうほどの人気を博したミュージシャン近藤春夫の「エッセイストデビュー」のエピソードも明かされている。an・anのほんの最初期の話だが、凝縮した約一年を描いている一冊。
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