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25 人中、24人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
よくぞ出版してくださいました,
By グレース・しんかい (京都府) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 「アメージング・グレース」物語―ゴスペルに秘められた元奴隷商人の自伝 (単行本)
この本を、最初本屋で見かけた時は、本当に驚いた。え?なんですって 自伝?? Amazing Graceの作詞者ジョン・ニュートンといえば、1700年代、日本で言うなら江戸時代の人である。そんな彼「本人」の伝記原稿が、そんなにたくさん残っていたのか?という驚きである。 そして本を読了して。。。 まず、このような自伝(というよりジョン・ニュートンに関する一大研究書)の、訳と編をされた中澤幸男氏の尽力と情熱に、頭を垂れ、敬意を表したくなった。 そして昨今の「売れ筋」本ばかりが賑やかな出版業界の中で、こうした商業ベースに乗らない(かもしれない)本の出版に踏み切った、彩流社さんにも感謝し、拍手を贈りたくなった。 訳と編をなさった、中澤幸男氏は、ゴスペルの女王「マヘリア・ジャクソン自伝」(同じく彩流社)を訳されたゴスペル音楽にも造詣の深い方だが、このアメージングの本では、中澤氏の注釈が極めて丁寧なのである。この注釈があるからこそ、ニュートンの自伝が、私たちに理解しやすく、生きたものになっている。 本著は、自伝と名のつく通り、ジョン・ニュートン「本人」による書簡と論文が元になった本。主軸は、やはり2章の、奴隷船の船長から足を洗い、信仰に導かれるあたりの心の動きなのだが、それだけではなく、最後の彼自身の論文では、非常に理知的な彼の顔や、奴隷貿易廃止の社会運動家としての顔がみえてくる。 そして、私たちが一般に知っているAmazing Graceの歌詞と、オリジナルの歌詞が、微妙に違う部分もあることなどにも言及されている。 何といっても、Amazing Graceの歌はメロディの美しさと、歌詞の素晴らしさの両輪が、まるで芸術のように一体となっていて、何度聴いても飽きることがない。その詞を書いたニュートンの人生。彼の人生はすでにAmazing Graceの歌詞に凝縮されているわけだが、この本を読むと、彼や歌への理解がさらに深まることは確かであろう。 また、奴隷船貿易の船長であった彼自身による「論文」も所収されていることから、ブラックヒストリーや、奴隷貿易の研究をしている方にとっても、貴重な資料の翻訳という側面もある。 実際にゴスペルを歌っている方・Amazing Graceのファンの方、多くの方に読んでいただきたい良書である。
20 人中、19人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
私の中に住む奴隷商人,
By 星 - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 「アメージング・グレース」物語―ゴスペルに秘められた元奴隷商人の自伝 (単行本)
読み終わって、この本との出会いに何か大いなるもの(私はキリスト教徒ではないので、敢えて神とはいわない)に感謝する気持ちになった。こういう感慨を抱く本はめったにない。本書はジョン・ニュートンが知り合いの牧師の依頼で、14通の手紙にしたためた自分の心の軌跡の物語と、イギリスで1807年奴隷貿易廃止の法律が成立するのに、与って力があったジョン・ニュートンの体験に基づいた論文「アフリカ奴隷貿易についての考察」からなる。 現代の私達の日常には、奴隷貿易という言葉ほど一見縁遠い言葉はないように見える。しかし当時のイギリスでは、これが収益性の高い上流社会のビジネスとして認知されていた事実は重い。 私は自分の中に潜む、差別や残忍性にいとも簡単に、時として嬉々と加担する本性が公然と顔を出すことのないよう、また他人のそのような性向に対し無関心という形で加担することのないよう、看視を怠ってはならないと改めて感じた。 ジョン・ニュートンも繰り返し神の恩寵で命を救われながら、忘恩の無関心に落ちていった。この本が一人でも多くの人に読まれ、私達の中に住む奴隷商人を自覚する機縁になることを祈るばかりである。
10 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
久々に満足できる本と出会えました。,
By 忙しく読書量が少なくなった "もと本の虫" (埼玉県所沢市) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 「アメージング・グレース」物語―ゴスペルに秘められた元奴隷商人の自伝 (単行本)
豊富な資料から丁寧にまとめられていて、久々に読み応えのある本でした。興味が薄い読者にとっては、多少の読みづらさはあるかもしれませんが、私にとっては、当時の雰囲気が伝わってくるような活き活きした訳でした。編訳者の原典に忠実であろうとするマニアックなこだわりが伝わってきました。 ぜひ、多くの愛読者を獲得してもらいたい本です。
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