著者は、やり手のヘッドハンターである。自分にも部下にも1日5人、月間で100人に会うことを求め、日々、優秀な人材探しに飛び回っている。ヘッドハンティングは、転職市場が活性化してこそビジネスが成り立つわけだから、「転職するな」と言うのは、明らかにおかしい。しかし、本人は奇をてらうでもなく、至極まじめだ。
「ヘッドハンターの悲鳴だと思ってこの本を読んでください。ヘッドハンティングしたい人が本当に少なくなってきてしまったんです。このままだと、近い将来に我々の商売は上がったりになってしまう」と著者は言うのである。ヘッドハンターが求めるのは、読んで字のごとく、人の上に立つ人、リーダーである。著者は優秀なリーダーが企業に少なくなってきたことを嘆き、その原因の1つが安易な転職にあると指摘するのである。
転職は決して悪いことではない。人が入れ替わらない組織はやがて腐ってくる。欧米に比べれば日本では転職をする人がまだまだ少ないから、もっと増えてもいいはずだ。しかし、組織や仕事に馴染む努力をあまりせず、嫌になったらすぐ辞めるという転職が増えては、人も組織も成長しないだろう。
そういう風潮を企業が後押ししているという側面もある。かつてに比べて、日本の企業が社員に投資しなくなっているのだ。例えば、全労働費用に占める教育訓練費の割合を見ると、1988年は2.4%あったものが、2002年には1.5%にも低下している。一方、米国や欧州は研修費を増やしており、従業員1人当たりの研修費では大きく水をあけられるようになった。こうした数字で見る限り、「日本企業は人を育てる」というのは、もはや過去の話でしかない。
転職市場で高く評価されるリーダーを、著者は「傍楽人(はたらくひと)」と呼ぶ。ピラミッド組織の上に乗るのではなく、周囲(傍)の人を楽しくさせる人という意味である。また、「企業内教育を荒廃させる成果主義は親の敵」と言い、横文字の経営手法を取り入れるより、日本的経営に戻って社員をしつけよと主張する。本書は、転職したいと考えている人のために書かれているが、企業のマネジメント層が読んでも、考えさせられることが多いのではないかと思う。
(日経ビジネス 2004/08/30 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)
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9 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 2.0
精神論と受取られるかもしれない,
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レビュー対象商品: 「もうこの会社やめたい」と思ったとき読む本 (単行本)
「仕事をすることに対して喜びを見出すことが大切であり、目先の年収upや現状への不満から、安易に転職すべきではない。」という主張は共感できる。仕事に限らず、ある程度の「壁」を超えないことには「喜び」「やりがい」は見えてこない。 但し、(できるできないは別として)著者が述べている内容に目新しいものはない。 対象としては20代後半向けと思われるが、その年代には「精神論」と受取られるかもしれない。
3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
若者の安易な転職を戒める本,
By 拓庵 (東京都) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 「もうこの会社やめたい」と思ったとき読む本 (単行本)
ヘッドハンターの書いた本ということで、転職を勧める本かと思いきや、さにあらず、単なる年収や肩書のアップだけを目的に、簡単に転職をすることを戒める本である。むしろ、若い人は、仕事の基本を覚えるまでは、安易に転職を考えず、踏みとどまるべきと強調している。仕事と向き合う心構えを説いた本として読むべきものだろう。40代の読者としては、このタイトルから期待したものとは、やや違った内容だった。本来、著者が希望していたという「30歳未満、転職厳禁!」の方が、タイトルとしてふさわしいと思う。
11 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
プロフェッショナルになれ,
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レビュー対象商品: 「もうこの会社やめたい」と思ったとき読む本 (単行本)
おそらく本書を書くきっかけは、「若者の安易な転職をいさめる」でしょう。ですが、「生き方指南」になっています。 よほどひどい企業でなければ、「自分にあった幸せな仕事を見つける機会 を創る場はあるはず」ということを言っているような気がします。 言葉は出てきませんが、会社といううつわを先に考えるのでなく、 「安いプライドと安い転職は直結する」、「こういう転職を繰り返して なかなか自分の周りに、メンター的な存在を見つけにくい私にとっては、 ただ、宗教的、哲学的な表現が出てくるのは、著者の経験による
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