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13 人中、13人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
喜びや感動という僅かばかりの心の余裕が、自暴自棄を希薄化してくれる,
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レビュー対象商品: 「もう、うんざりだ!」 自暴自棄の精神病理 角川SSC新書 (角川SSC新書) (新書)
6年ほど産婦人科医として勤務した後、勉強し直して精神科医となった著者が、自身の経験や見聞さらに小説を検討の対象にして、思考をめぐらせながら自暴自棄の実態と解決方法を書いた本。自暴自棄の原因となりやすい無力感(1章)・自己嫌悪と気まずさ(2章)・羞恥心と怒り(3章)について、自身の体験や小説を例にその心の不思議さを書いている。 決断と衝動(4章)突飛と孤独(5章)では、刹那的爆発的な自暴自棄と異なり、ゆっくり進行していく自暴自棄を説明している。 自暴自棄の究極の姿である自殺について、自殺に至る心の動きを詳しく分析している(6章)。 踏みとどまるということという7章では、自暴自棄へ走ることを踏みとどまる「心の底上げ」を力説している。 「無力感が、ときには心の安らぎや気持ちの良さにつながり得るという事実は重要である。ささやかな出来事に慰めや喜びや救いを感じ取ることができるように精神は組み立てられており、無力感に深く囚われたのちにはかえって肯定的心情が生まれやすいように精神は作り上げられている。」この文章が、そのまま自暴自棄から抜け出す手立てになると思う。 興味深い話がたくさん取り上げられている。たとえば、 クレイマーやモンスターペアレントにみられる、自分だけは特別待遇をしてもらいたいというダブルスタンダードの話。 本物の絶望は二段構えで陥るという話。 ひとりで80通の遺書を書いて自殺した話。つまり、自殺しようとしているのに、毎日遺書を書きながら、生きる欲望と闘ったのではないかという話。 自殺ツアーの話。つまり、「自殺か、人生を受け入れるか」ではなく、「きっぱりと死んでみせるか、臆病風に吹かれて逃げ出すか」へと選択肢の内容が変わってしまっているという話。 悔しさや悲しみや恨みや怒り、理不尽さや不条理さの中で、自暴自棄にならずにはいられないときがある。それにもかかわらず、同時並行で生ずる些細な喜びや感動によって、それに引きずられるような形で、自暴自棄のエネルギーが希薄化することも体験している。 その些細な喜びや感動と出会える可能性を持てる程度に、心を底上げする、つまり、わずかばかりの心の余裕で、自暴自棄の離脱が始められると述べている。 わずかばかりの心の余裕で、自暴自棄から「我に返る」可能性がでてくる。そのためにとても大事なことが2つあるという。 ひとつは、「深呼吸」をすることである。とりあえず立ち止まってみる、シンプルな動作に集中してみる、身体の内部を一時的に空っぽにしてみる。深呼吸には、暴走しかけている気持ちを抑える効能がある。 もうひとつは、「気持ちを共有してくれる人」がいることである。そういう人が横にいれば、とげとげしい気持ちは希釈され薄まる。 深呼吸と気持ちを共有してくれる隣人、すなわち、事態をいったん棚上げしてしまえる飄然(ひょうぜん)さと絆が必要となってくると述べている。 この本を読んでいると、自暴自棄の精神病理の深さ、難しさ、を感じる。 わずかばかりの心の余裕だけで、一挙に解決されるわけではない。 でも、そのわずかばかりの心の余裕が、希望のひかりになっていることは確かだと思う。
5 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
自暴自棄、をテーマとした精神科医のエッセイ集,
By SaKz (東京都) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 「もう、うんざりだ!」 自暴自棄の精神病理 角川SSC新書 (角川SSC新書) (新書)
自暴自棄、をテーマとした精神科医のエッセイ集。無力感、自己嫌悪と気まずさ、羞恥心と怒り、決然と衝動、 突飛と孤独、自殺の周辺、踏みとどまるということ、と章立てされている。 著者は自殺に対する考察でそれを「自暴自棄の究極」として、 残された者に対する「もっとも痛烈な絶交宣言」であるとして、 屈折した自殺者自身の優越感に結びついていると分析している。 自殺という結果が招く残された人間への攻撃性のようなものが窺われる論理と言える。
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