思春期・青年期の精神病理が専門で、「ひきこもり」治療に詳しい著者が、具体的な事例をもとに、Q&A方式で、ひきこもりから抜け出す手だてを示している。タイトルだけを見ると、何となく軽い印象を受けるが、中味は非常に重く、そして真剣だ。本書の読者対象は、当事者や家族、支援する専門家などの関係者。「可能な限り『専門家に相談してください』という表現を用いない」ようにした、と著者自身が述べていることからも、実用性を重視していることがわかる。
本書は、ひきこもりの定義に始まり、原因や不登校との関連、治療の目安や選択基準、家族の接し方、社会的サポートなど、事細かに質問項目を設定している。特に印象深いのが、インターネットとの関連性だ。インターネットをやったらますます引きこもってしまうのではないか、という問いかけに対し、著者は、直接話すのが苦手な子でもメールを通してコミュニケーションが取れることや社会との接点を回復する窓口として大きな意義を持っている、と肯定している。豊かな専門知識と、ひきこもっている人たちへの温かいまなざしが、単なるマニュアルではない1冊に仕上げている。(町場キリコ)
著者は「はじめに」で、「極端な話、この本の情報さえあれば、専門家抜きでもひきこもりから抜け出すことが可能になる、というくらいの実用性を持たせたい」と宣言する。数多くの事例を診ている著者のアドバイスはじつに的確で、いますぐにも実行できることがたくさんある。しかし、われわれが思いも寄らぬ指摘もあり、ひきこもり対応の難しさを感じさせられる。
付録として厚生労働省が発表したひきこもりに対処するガイドラインや、精神保健福祉センター一覧も載っており、使える一冊となっている。
本書は「ひきこもり」で悩むすべての親に贈る明日への処方箋である。
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23 人中、22人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
分厚い,
By
レビュー対象商品: 「ひきこもり」救出マニュアル (単行本)
マニュアルとして基本的にQ&A方式で書かれているが、個別的で多様な問題を一概には答えられない難しさから、すっきり明快簡潔に答えるわけにはいかない。それでこのボリュームになるのだと思う。また、著者は自分の経験、自分の知見であると繰り返し、過度の一般化にならないよう配慮している。 教育、福祉、医療といった関係者から、保護者の方まで、参考になる点は多い。 本当に今のままでいいのか。家族が疑問に思ったときには特に参考になるだろう。
40 人中、34人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
当事者のご両親には必ず読んで欲しい,
By カスタマー
レビュー対象商品: 「ひきこもり」救出マニュアル (単行本)
~実際に引きこもっている子どもを持つ親には必ず読んで欲しいと思う。というのは、プレッシャーをかけ続けていたならばいつまでもきっと当事者の緊張は解けないだろうと云うことをどうしても理解できない親が必ずいるからなのである。当事者の親の会に出席してみるとよく分かるのだけれど、そんな場に出てきている人たちの中ですら、もう当事者を見捨てる発言~~をする人がいたり、頑なな方を見ることがある。この本は齋藤先生の神髄を具体的に見ることができるわけです。こうした状況が発生した要因を探索する人はもちろん必要かも知れないけれど、実際に臨床的に対応する人はもっと必要であり、その直面する人は親以外の誰でもないからだ。長田百合子を信奉する人には必要がないことは明確。~
22 人中、19人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
具体的でよい,
By 21世紀の精神科医 (京都市北区) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 「ひきこもり」救出マニュアル (単行本)
「ひきこもり」は最近さらに増えており、日本の家庭における親子関係に暗い影を落としている。第一人者のたいへん明解な対応マニュアルはこの問題に取り組む全ての関係者、当事者に有用であろう。分厚い本だが、多くのQ&Aの形をとっているので具体的事例にすぐ当てはめられる。家庭内暴力に対する対応など、経験に基づく説得力がある。また、ひきこもりにもモラトリウム的なもの、神経症的なもの、病的(分裂病がらみ)なもの、など専門家による分析とサポートが必要なことがよくわかる。コメディカルとの連携などが具体的に書かれていたらもっとよかった。
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