まず「かわいい」の源流が11世紀の『枕草子』にあり、江戸期の歌舞伎や大衆小説を経て、太宰治ら現代の作家にも受け継がれ、独自の美学へと洗練されてきたことを解説する。また、「かわいい」の構成要素として、美しさのほかに醜さ、不気味さなどのグロテスクも微妙に交じっていることを指摘。重要な属性である小ささと、日本文化の「縮み」志向との関係も探る。
ハローキティ、パフィー、ポケモンなど、「かわいい」が世界で受け入れられ、巨大な市場を作り出している背景を検証。「かわいい」文化を多方面から分析したユニークな1冊である。
(日経ビジネス 2006/03/20 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)
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5つ星のうち 2.0
無理無理なカテゴライズに違和感。,
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レビュー対象商品: 「かわいい」論 (ちくま新書) (新書)
現代語の「かわいい」が形容詞と感動詞をごっちゃにしたような使い方をされていること=言語文化の変質という事象と、アニメ文化や萌えなどの日本カルチャーの分析が同時並行で行われていて、わかったようなわからないような、というか論点が定まらない印象で読んでいて疲れました。メディアで使われる「かわいい」を論じた部分は特に筆者の論旨に合うよう事実を無理無理にカテゴライズしているように読めて、共感できず。 アウシュヴィッツまで手をひろげるに至っては些か大風呂敷の感を免れず。
8 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
日本固有の文化「かわいい」を読み解く「総論」,
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レビュー対象商品: 「かわいい」論 (ちくま新書) (新書)
「これだけ重要でありながらも一度たりとも正面きって分析の対象とされていなかった現象についての、最初の書物」っていうのはいくらなんでも言い過ぎだと思うけど、日本固有の文化「かわいい」を読み解く「総論」としてかなり重要な書物であることは確かだ。あえて「総論」としたのは、著者自身も触れているように、各論レベルで展開しきれていない部分が多いから。「かわいい」は広域の分野に関連するため、著者として門外漢、手に余るフィールドについてはあえて踏み込んでいない(新書という制約ももちろんある)。その分、著者が本書の中で“現代社会におけるサブカルチャーの重要性を喧伝するという論客が、いささか強引な論陣を張っていた”と揶揄する大塚英志のような、よく言えばアウトスタンディング、悪く言えば奇をてらった論旨は見られず、どの論考もオーソドックスで納得のできる内容となっている(四方田氏と大塚氏、「かわいい」論以外に於いても、必ずしもすべての論旨が敵対しているようには思えないのだけれど...)。「かわいい」は本書で取り上げられている「きもかわ」以降も、「エロかわいい」「カッコ可愛い」とそのヴァリエーションを増やし続けており、マーケティング的には、とりあえず「かわいい」付けとけ!みたいな状況になりつつある。「かわいい」インフレでその本質が見え辛くなってきている今だからこそ、時間軸、空間軸の両面から、総論的に「かわいい」を分析した本書は貴重だと思う。 本筋とは関係ないけど「かわいい」に関連して取り上げてる日本人の「縮み」志向、トランジスタラジオ、ウォークマンでブランドを築きあげてきたソニーには、今の大画面競争のご時世は似つかわしくないんだなって思った(ほらジャンボトロンだって結局残ってない訳だし)。
18 人中、13人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
アウシュビッツの「かわいい」仔猫,
By オベリスク (岐阜県各務原市) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 「かわいい」論 (ちくま新書) (新書)
これほどポピュラーで重要な言葉でありながら、これまで「かわいい」と云うことそのものについて、一書が成されたことがあっただろうか。それをまた、四方田氏が論ずるというのだから、嫌でも期待は高まろうというものである。さて、ここで氏が採っている方法論の半分は、言語的な詮索である。平安時代にもこのような感性はあった、例えば『枕草子』の「うつくし」がそうである。それはわかった。フランス語には「かわいい」に相当する語はない。だからバルトは、オードリー・ヘップバーンとグレタ・ガルボの魅力の違いを説明するのに苦労している。これも面白い。しかし、四方田氏は、だんだん疲れていったようだ。勿論氏はそんなことは言っていないが、一体「かわいい」が世界を席巻したといって、それがどうだというのだ。「かわいい」なんてのには、もう飽き飽きだ。そんな呟きが聞こえそうであるし、正直言って、それに賛同したくなるのを禁じえない。エピローグに出てくる、アウシュビッツの「かわいい」仔猫。「かわいい」とは、そんなに無垢なものではないのだ。あまりにも勝手な感想ばかり述べたかも知れない。本当は、優れた現代文化論である。是非、読んで見て下さい。
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